« 「具体」の人々 | トップページ | 今度は、30年前に戻る映画 »

2013年2月 3日 (日)

26年前に戻ったら

ちょっと面白い設定のフランス映画を見た。東京日仏学院の「カイエ・デュ・シネマ週間」で見たノエミ・ルヴォヴスキ監督の『カミーユ、ふたたび』。今年のセザール賞で最多ノミネートというから、どんな映画かと思ったら、ちょっとトンデモな展開だった。

冒頭、映画の撮影シーン。若いスタッフたちが、殺人シーンを撮っている。殺されて血を流す中年女優役のカミーユは、撮影が終わると電車に乗って自宅に帰る。

大晦日の夜、夫と喧嘩をしたカミーユは友人たちとのパーティに行く。そこで窓から結婚指輪を投げようとすると眩暈に襲われ、26年前に戻っている。

おかしいのは、16歳のカミーユを中年女性がそのままで演じていること。高校生の格好をしたおばさんで、いわばコスプレ状態。そのうえ、本人はあくまで現在の意識からその時代を見る。「あと2週間で母が死ぬから」と検査を受けさせたり、父に「ほんの一口」とシャンパンを注がれて、飲み過ぎたり。

そして現在別れつつある夫と出会う。夫もおじさんが高校生の格好をしているが、彼は現在のことは知らない。カミーユはこの人を愛しても結局は別れると知りながら、愛してしまう。

実はカミーユを演じるのは監督で、彼女が生き生きと楽しそうに青春時代を見ているのが、何とも快い。最後に現在に戻ってくるが、その嬉しそうな表情といったら。

現在のパートで宝石屋の役でジャン=ピエール・レオーが、26年前の意地悪な先生役でマチュー・アマルリックがそれぞれ怪演しているのも見どころ。85年のフランスが再現されているのも懐かしい。『パリ、テキサス』のポスターが部屋にあったり、当時の音楽があちこちに出てくる。

この監督は、かつて「アニエス b.は映画が大好き」という映画祭(アニエスが選んだフランス映画を見せたが、実際は私が選んだ)を2回やった時、2度目の新人監督特集で第一作の『私を忘れて』を上映した。それ以降はむしろ女優として名前を見てきたが、監督と俳優を兼ねたのは今度が初めてだと思う。それも自分の年齢の役だ。

映画としてはどうということはないし、日本では公開しても入らないだろうけど、この設定は抜群だった。日本でリメイクはどうだろうか。

|

« 「具体」の人々 | トップページ | 今度は、30年前に戻る映画 »

映画」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/537538/56685954

この記事へのトラックバック一覧です: 26年前に戻ったら:

« 「具体」の人々 | トップページ | 今度は、30年前に戻る映画 »