今度は、30年前に戻る映画
土曜日に26年前に戻る自分を描くフランス映画を見たら、偶然に翌日に30年前に戻るアメリカ映画を見てしまった。ライアン・ジョンソン監督の『LOOPER ルーパー』で、大学で学生が話題にしていたので見てみようと思った。
舞台は2074年。殺人が不可能な世界で、犯罪組織は敵を殺すために30年前の2044年に遡って殺すという設定。ルーパーと呼ばれる処刑人ジョーを演じるのが、ジョセフ・ゴードン=レヴィットで、なぜか何もない畑のそばで、約束の時間に送られてくる人間を次々に殺す。
のっけから妙にスタイリッシュで、「映画的」な風景が広がるが、そこへブルース・ウィリス演じる30年後の自分がやってきて、話がこんがらがる。ルーパーをやれば大金が稼げるが、30年後に殺されるというのが掟らしい。つまり、未来の自分を殺さなければ今の自分が殺される、という不条理な状況だ。
そのうえ、未来の自分は、自分の中国人の妻の命を奪った犯罪組織のトップ(ジェフ・ダニエルズが好演)を殺すために、30年前にやってきたというから、話はいよいよわからない。さらに30年前のジョーは、美女とその息子に出会うが、その息子は実は犯罪組織のトップの幼い頃で……。
まるで1940年代のフィルムノワールのように、わからないからいいのだとばかりにアクションが続く。大学生が謎解きをして楽しむのも何となくわかる。そのうえ、いくつかのシーンが昔の映画を思わせて、メタ映画な感じもある。
たぶんこの映画の最大の失敗は、ジョセフ・ゴードン=レヴィットとブルース・ウィリスがあまりにも似ていない点だろう。ここが気分的に結びつかないので、どこか乗れない。
話は変わるが、私はこのブログでよく20年前とか30年前の話をする。インターネットどころか、携帯電話もコンピューターもなかった時代だ。実を言うと週末にとうとうアイフォンを買って、その新世界におじさんは衝撃を受けている。これについては後日書くが、30年前は甘美であるというのが今日の結論。
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