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2013年2月15日 (金)

「メディア芸術祭」が「恵比寿映像祭」よりおもしろいわけ

今年も国立新美術館で「文化庁メディア芸術祭」を見た。何だか親方日の丸のクールジャパンみたいな展覧会名だが、これがなかなかおもしろい。現在東京都写真美術館で開催中の同じようなジャンルの「恵比寿映像祭」よりずっと見ごたえがある。

こちらは、アート、エンタテインメント、マンガ、アニメーションと4つの部門に分かれているが、基本は公募で審査員がいて賞を出す。とは言っても新人ばかりではなく、例えばアニメ部門の大賞は大友克洋の『火要鎮』で、優秀賞には細田守の「おおかみこどもの雨と雪」などが並んでいるから、むしろ2012年の総決算的な意味合いを持つ。

会場に入ると、アート部門大賞のCod.Actによる《Pendulum Choir》にのけ反ってしまう。宗教曲のコーラスのメンバーが、それぞれ勝手に動く台の上で歌い続ける、としか説明できないが、とにかくおかしい。三上晴子の《欲望のコード》は既にNTT/ICCで見たものだが、やはり監視カメラに追いかけられる空間は怖い。

アート部門で最もインパクトがあったのは、佐野友紀の《ほんの一片》。津波で流されたものが集まったゴミの大きな写真の上に絵筆で色を塗っただけのものだが、その現実のような夢のような平面がシンプルさゆえに心に残った。

エンターテインメント部門では、新井風愉の《永野亮「はじめよう」》とか三木俊一郎《あさっての森》とか、見ているだけで笑いだしたくなる。特に後者は短い参考映像だったので、全編を見てみたい。

マンガ部門はこうした展示に向かないので飛ばして、アニメーション部門をじっくり見た。大友克洋ら大家の作品は短い参考映像なので予告編に近い。短編で全編を見せる和田淳の《グレートラビット》や水尻自子の《布団》の繊細な線画に、見入ってしまった。

いわゆる実写の劇映画以外の映像を使った作品(や商品)の一年分の新作を、エンタメもアートもすべて見せるこの展覧会は、ある意味で東京国際映画祭よりも外国人には刺激的なのではないか。これは去年も書いたが、文化庁がやっているのだから、どうして東京国際映画祭期間中にやらないのだろうか。

それに比べて、学芸員が「現代美術」という枠でつまみ食いをして選んだ「恵比寿映像祭」は決定的に貧弱だ。「文化庁メディア芸術祭」は24日まで。何と入場無料。

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