« 『横道世之介』の描く80年代 | トップページ | 『君と歩く世界』の描く激情 »

2013年2月26日 (火)

『ハッシュパピー バスタブ島の少女』の「政治的正しさ」

私の場合、毎日試写に行けるわけではないので、行く時は相当時間をかけて選ぶ。ハガキ大の試写状を裏表ためつすがめつ眺めて、おもしろそうな要素を探す。まずは監督やプロデューサーなどのスタッフや俳優の名前。そして大きいのは賞の有無。

4月20日公開の『ハッシュパピー バスタブ島の少女』は、アカデミー賞で作品賞を含む4部門ノミネート(結局何も取らなかったが)。もっと信用できそうなのが、サンダンスのグランプリにカンヌのカメラドール(新人賞)と国際批評家連盟賞。そのほかにもロサンジェルス批評家協会賞やナショナル・ボード・オブ・レビューの賞も取っている。

これが実は私にはピンと来なかった。冒頭、遠くにゆらゆらと揺れるオンボロ家を手持ちカメラで撮った写った時、これは何が起こるのかと期待した。最初は貧困をドキュメンタリータッチで描くのかと思いきや、少女のナレーションで話は進み、時おりファンタジーのような展開を見せる。

世界の果てのような場所で、動物や自然と共生しながら力強く生き延びる人々。しかし環境は変化して大嵐が起き、すべてが水びだしになる。そのうえ、文明の側は、彼らを強制退去させ、施設に入れてしまう。そこを飛び出す人々。

巨大なサイのような動物が出てきたり、何が起こるか想像できないタイプの映画で、好きな人は多いだろう。へそ曲がりの私には、どうも安易な文明批判とかエコ思想に見えて、途中から冷めてしまった。「政治的な正しさ」と考え尽くされたテクニックで練りあげた映画といったらいいのか。

話は変わるが、今朝の「朝日」を読んでいたら、作品賞をオバマ夫人が発表したことが話題になっていた。それが『アルゴ』だとなると、どうしてもその「政治性」を考えざるを得ない。いつの時代もアカデミー賞は「政治的」なのだろう。

|

« 『横道世之介』の描く80年代 | トップページ | 『君と歩く世界』の描く激情 »

映画」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/537538/56843000

この記事へのトラックバック一覧です: 『ハッシュパピー バスタブ島の少女』の「政治的正しさ」:

» 映画「ハッシュパピー バスタブ島の少女 」この映画のどこをどう評価したのだろう? [soramove]
映画「ハッシュパピー バスタブ島の少女 」★★★ クヮヴェンジャネ・ウォレス、ドゥワイト・ヘンリー 出演 ベン・ザイトリン監督、 93分、2012年4月20日より全国公開 2012,アメリカ,ファントム・フィルム (原題/原作:BEASTS OF THE SOUTHERN WILD) 人気ブログランキングへ">>→  ★映画のブログ★どんなブログが人気なのか知りたい← 第85回アカ... [続きを読む]

受信: 2013年5月25日 (土) 08時13分

« 『横道世之介』の描く80年代 | トップページ | 『君と歩く世界』の描く激情 »