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2013年2月 7日 (木)

洋画不振に考える

先日、映連が発表した昨年の興行収入によれば、邦画のシェアが65%を越して約1282億円となり、過去最高という。1月31日の新聞各紙でそのことが報じられていたが、朝日も読売も2000年以降の邦画と洋画の興収をグラフにしていた。

グラフは読売の方がわかりやすかったが、いずれにしても2000年ごろは洋画が圧勝で、2006、07年が邦画と洋画が拮抗し、それ以降は邦画がどんどん伸びていることがわかる。

朝日では数日後にもう一回文化面でこれを取り上げていたが、その表が興味深かった。1955年からの数字が入ったその表を見ると、1960年代までは邦画が優勢だったことがわかる。それから80年代半ばまでが拮抗の時代。戦前は洋画の数が少ないので邦画が優勢であることを考えたら、洋画が優勢なのは80年代半ばからの20年だけだということになる。

80年代以降というのは自分が映画を見ている時代なので、どうも洋画が優秀なのが当たり前に思っていたが、日本映画史全体から見たら、むしろ例外的な時代なのかもしれない。

朝日には「日本の観客は洋画への関心を失ったのか」と悪いことのように書かれているが(私もその気分を共有している)、本来なら自国映画が当たるというのはいいことのはずだ。日本では歴史的にもそれが主流だし。

それでもいらぬ心配をしたくなるのは、いくつか理由がある。1つは日本人は外国文化への好奇心を失ったという、例の「内向き日本人」論。これは多分に新聞やオヤジの感覚だ。

もう1つは、テレビ局主導の邦画の低レベル。当たるのは『海猿』のようなシリーズものか、アニメでなければ、『テルマエ・ロマエ』しかない。昨年『テルマエ』が興収59億円も行ったのは、私にとっては大きなショックだった。ほとんど映画の体をなしていないのに。

こうなると邦画も洋画もない。むしろ映画のデジタル化やスマホの流行に代表される、映像を見るという体験自体の変容かもしれない。きちんと練り上げられた物語ではなく、ネタを楽しみ、シェアする感覚だ。最近自分がスマホを買ったせいでこう考えるのかもしれないが。

念のために映連のHPを見て、改めて驚いた。去年邦画は554本も公開されている。洋画も429本で合計983本。邦画の500本以上は50年代から60年代の「黄金期」に数回出した数字だが、554本は過去最高。千本近い合計も過去最高。この数字が映画のデジタル化と連動しているのは間違いないが、何という時代だろうか。

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