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2013年2月23日 (土)

「メディア芸術祭」と「恵比寿映像祭」の予算に驚く

今年もここで取り上げた「恵比寿映像祭」と「文化庁メディア芸術祭」(共に明日まで開催、入場無料!)について、「朝日」のWEBRONZAで論じたが、その時に双方の事務局に事業予算を聞いて、のけ反ってしまった。「恵比寿映像祭」は9700万円、「メディア芸術祭」に至っては2億3600万円という。

普通の美術館では、1本の展覧会で1000万円の予算があれば「御の字」である。「恵比寿映像祭」の場合は、うち8900万円を東京都が「東京文化発信プロジェクト」という予算から出している。「メディア芸術祭」は国立美術館は貸し会場で、すべて文化庁の予算。

合計で3億3300万円。ちなみに東京国際映画祭は総予算が7億円で、文化庁と東京都に経産省関連を含む公的助成が35%の2億4500万円。つまり同じ映像を扱いながら、2つの映像祭の合計は東京国際映画祭への諸官庁からの助成金合計より遥かに多い。

ここで私が言いたいのは、2つの映像祭を止めて、そのお金を東京国際映画祭に使うべきだというのではない。「メディア芸術祭」はアニメやゲーム、プロモーションビデオ、マンガなども含む、いかにも日本からの発信にふさわしいコンテンツを持っている。「恵比寿映像祭」はその作品の選択に問題はあるにしても、「現代美術」という観点から映像を捉える、東京国際映画祭に欠けた試みだ。

四半世紀もやっていながらパッとしない東京国際映画祭は、このエンタメとアートの2方向を取り入れたら、日本発信の国際的なインパクトのある内容になるのではないか、というのが私の考えだ。とりあえず同時期に開催して(「メディア芸術祭にもアート部門があるので「恵比寿映像祭」はいらないが)、予算を有効に使う道を考えたらどうだろうか。

本来こんなことは新聞が書くべきことだが、どう見ても2つの豪勢な展示が毎年続いているのに、その予算のことは誰も書こうとしない。美術展や映画の紹介だけなら、新聞の意味がないのに。

新聞への文句と言えば、一昨日亡くなったアレクセイ・ゲルマンの訃報がどこにも載らなかった。『わが友イワン・ラプシン』や『フルスタリョフ、車を』など作品数は少ないが、天才監督だった。来日もしたのに。昨年末に死んだパウロ・ローシャも、最近「朝日」に載ったが(私が伝えたので)、他紙は追わなかった。日本で合作『恋の浮島』を撮った監督なのに。ともに映画史に残る大監督である。

ところで私は新聞社を辞めて4年もなるのに、こうして新聞批判を書き続けているのは、やはり新聞が好きなのかもしれない。

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コメント

東京国際映画祭、文化庁メデイア芸術祭、恵比寿映像祭etc,は地域とメデイアを繋ぐ公共性がある貴重な機会だと思う。しかし、未だ未だ開かれた催しとして市民に浸透していない面もあるから予算、経済という側面だけでなく市民参加という点もみる必要があると思う。フイルムのコレクションや公開、監督特集上映会や名作上映で国立近代美術館フイルムセンターの役割が映像文化にとって重要で、先の東京国際映画祭ではオーソン・ウエルズ監督作品集と記念講演など貴重であった。映画イベントをリンクさせもっと参観しやすい条件整備が求められているのではないかという気がします。

投稿: PineWood | 2016年2月21日 (日) 10時38分

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