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2013年3月21日 (木)

内田裕也を見た

内田裕也の実物を近くで見た。かつて新聞社に勤めていたので芸能人を見ることは珍しくなかったが、杖を持ち長い白髪をたなびかせてガラガラ声で「ロックンロール!」と叫ぶ内田裕也を見たら、何とも嬉くなった。京橋のフィルムセンターで始まった崔洋一監督特集のトークショーでのことだ。

トークショーの前に、『十階のモスキート』が上映された。1983年だから30年前の映画で、崔監督の第一回監督作品。主演は内田裕也。大学生の時、封切り当時に『水のないプール』との同時上映で見て以来、実に30年ぶりに見た。

何より驚いたのは、出てくる面々の若いこととその奇抜な演技だ。内田裕也は本当に危ない感じの警官だし、別れた妻の吉行和子、バーのママの宮下順子、そこで勤める中村れい子、婦人警官の風祭ゆき、万引きで捕まる女アン・ルイスなど、みんな怪しい色気を振りまいている(ちなみに、このうち宮下以外は映画で内田に強姦される)。

ビートたけしの競輪の予想屋は抜群におかしいし、内田の上司の警察署長を演じる佐藤慶は大島渚の映画を思わせるほどシニカル。バーの客の小林稔侍や、サラ金の取り立てをやる安岡力也など見ているだけでゾクソクしてくる。

そして内田の娘を演じるのが、15歳の小泉今日子。最初出てきた時はすぐにはわからなかったが、原宿で竹の子族のメンバーとして、(今から見ると)奇妙なダンスを懸命に踊る姿は何とも可愛い。

もう一つ。競艇以外に内田がはまっていたのは、コンピューターを使った遊びだった。何十万円もする大きなコンピューターを買いこんで、夜中に自分でゲームをしていた。何が変わったといっても、コンピューターほど進化したものはないだろう。

さて、映画自体は演出は単調でどうということはなかったが、内田裕也を始めとする俳優たちの怪演が楽しかった。上映後のトークでわかったが、この映画のきっかけは夜中の2時に内田が崔に電話をしたところから始まったという。

内田はプロの脚本家に脚本を頼んだが、「荒井晴彦にまで半年は無理と断られて、オレを誰だと思っているんだとくやしくて」、自分で3日で書いたという。そこに崔が3日で手を加えた。ほかにもおもしろい話がたくさんあったので、後日また書く。

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