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2013年3月 4日 (月)

おもしろくて退屈な『ジャンゴ 繋がれざる者』

映画を劇場に見に行く時、新聞の映画評とともに参考にするのが、『週刊文春』の星取表。ここは目利きが揃っているし、みんな本音で書いている。この映画は5人のうち4人が5つ星で、品田氏だけが4つ星という滅多にない高得点で、期待して見に行った。

もちろん、おもしろくなくはない。ドイツ人歯科医シュルツは、賞金稼ぎのために黒人奴隷ジャンゴを救い、彼の妻を探す手伝いをする。前半は2人の賞金稼ぎのドンパチで、後半はジャンゴが妻を救い、白人に復讐するドンパチ。

それをマカロニ・ウェスタンをさらにカリカチュアにしたような演出と音楽で見せてゆく。そこに奴隷制度の悲惨さもちゃんと盛り込んでいるし、後半のディカプリオ演じる農場主は病的で抜群だし、その奴隷頭のサミュエル・L・ジャクソンとのやり取りは本当におかしい。マカロニ・ウェスタンらしい色調を、きちんとフィルムで再現した力量もたいしたものだ。

それでも私は壮大な悪ふざけを見ているようで、途中で退屈した。最近のタランティーノ監督の映画はどれも長いが、2時間45分は長すぎる。とりわけ後半で監督本人まで出演しているワルノリの度合いが妙に不快だった。

膨大な予算を使って派手にB級映画の模倣を続けるこの監督をホメすぎるのは、ある種のスノビズムのように思えるが、どうだろうか。

ところで、後半に奴隷同士の殺し合いゲームをディカプリオが「マンディンゴ・ファイティング」と言う場面があるが、昔見た映画『マンディンゴ』(75)を思い出した。私はこれを中学生の時に見て、その暴力とエロスにやられた記憶がある。今でも「マンディーンゴーッ」という歌が頭に残っているくらいだ。

パンフを見ると、この映画は何とリチャード・フライシャーー監督で、タランティーノも好きな映画だったが、奴隷問題を鮮明に描き過ぎて、長い間ソフト化されなかったらしい。今では日本でも売っているので、買ってみよう。

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