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2013年4月27日 (土)

六本木の展覧会2本

最近やたらに六本木に行く。映画の試写会場が六本木に増えたことが大きいが、美術館もいくつもできた。六本木ヒルズが10周年というから、今世紀になって六本木が再生している。始まったばかりの展覧会を2本見たが、いずれもいかにも21世紀らしい展覧会だった。

1つは、国立新美術館の「貴婦人と一角獣展」。こう書くと何のことかわからないが、一言で言うと、パリの「国立クリュニー中世美術館展」。その美術館の代表作が《貴婦人と一角獣》で、それを中心にしたいわゆる「○〇美術館展」だ。

国立クリュニー美術館は、パリのソルボンヌ大学近くにある愛らしい美術館だ。中世の館みたいな2階建ての建物に入ると、中はひんやりとして薄暗く、そこにタペストリーやキリスト像などがところ狭しと置いてある。観客はまずいないし、看視も少なくていわば穴場のスポットだ。

今回、そこのもっとも重要なタペストリーの連作を壁から引っぺがして日本まで持ってきて、バカでかく天井の高い新美術館の壁に並べているのがこの展覧会。

展示自体は、中世の布を現代の展示空間に見せるという難題をよくこなしていると思う。薄暗い広い空間に、6枚の布がぐるりと360度に展示されていて、浮かび上がっている印象だ。布の図柄自体は、パリで見るよりよく見える。それでもその人工的な処理に、何と野蛮な行為かと思った。

主催の朝日新聞社は、去年ウィーンのリヒテンシュタイン美術館から天井画を引き剥がして、この美術館に遮二無二天井を作って、展示していた。今世紀に入ってから、こうした常識外れの「〇〇美術館」が増えたように思う。この展覧会は7月15日まで。

一方、森美術館で始まった「LOVE」展は、「愛」をテーマに古今東西の美術作品を内外から集めたもの。私はシャガールと浮世絵の春画と中国の現代美術を同時に並べて喜ぶような、最近はやりのスノビズムは苦手だ。あえて美術史の文脈を無視することはおもしろいが、並べ方の発想が「LOVE」では発想が貧弱すぎる。

おもしろい作品はいくつかあったが、草間弥生が抜群だった。窓から見える夜景をバックに、空気の入ったビニールの物体が無数に立ち並び、それぞれに違う色が塗られている。鏡もあちこちにあって、まるで万華鏡の中に入ったような気分。これは昼間より、夜見た方が絶対にいい作品だろう。

こちらの展覧会は9月1日まで。

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