就活「後ろ倒し」に考える
大学生の就職活動、いわゆる就活が「後ろ倒し」になるという。何のことかと思ったら、これまで3年生の12月から会社説明会をし、4月から面接を開始していたのを、4年の4月から説明会、8月から試験にするという。首相が経済界に要望を出し、経済界はそれを受け入れるとか。
実際に大学で毎日学生と接している立場からいうと、「また無駄なことを」と思う。そもそも「経済界」というのは経団連を指し、今回の措置は彼らの作る「倫理憲章」が変わることを意味する。
だいたい経団連に所属しているのは、誰もが名前を知っているような大手企業だ。それらの企業はおおむね東大、早慶などの一流校から採用する。取りたい学生は取れるから、その時期がいつであろうが関係ない。
私の勤める大学だと、そういう企業にはなかなか入れない。だから大企業がエリート学生を早めに決定してくれた方がありがたい。できたら、かつて存在した「指定校制度」でも使って、取りたい学生を明確にして欲しい。ネット時代において、「はいれるかも」という夢を抱かせるのは罪作りだ。
学生にとって、数多くのエントリーシートを出して断られ続けるほど辛いことはない。返事も来ないことも多いようだ。「倫理憲章」などとカッコつけずに、本音を出して欲しい。いつから採用しようが、どの大学から取ろうが企業の勝手だが、そこに欺瞞があるから学生は混乱する。
ネットによる就活ではなく、企業が希望する学生のいそうな大学にリクルーターを送ったり、説明会をしたり、求人票を送るという従来型を復活させるべきではないか。あるいは企業はもっと学生のバイトを増やして、そこで見極めた方が企業も学生もお互いに間違いがない。私の経験から言っても、新入社員のまず1/3は、「誰が取ったんだ!」と言いたくなるようなハズレだった。
最大の問題は、企業が採用する正社員が減っていることである。首相が考えるべきは就活の時期ではなくて、この問題のはずだが。時期を一律化しても、破られるに決まっていることは歴史が証明している。
私の学生時代、つまり1980年代には「就職協定」があって、4年生の10月1日から採用試験だった。だがもちろんその前に内定が出されていて(いわゆる「青田買い」)、10月1日から3日間はほかの会社に行かないための「拘束」が横行した。当時、7月末にフランス留学から帰国して後に就活を始めた私は、8月末に西武百貨店から内定をもらった。このあたりの話はおもしろいので、後日まとめて書く。
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