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2013年4月12日 (金)

『アンコール‼』の老人と音楽

最近、老人を主人公にする映画が増えた。正確に言うと、外国映画で中年以上をターゲットにした映画が多く公開されるようになった。確実にそれを意識したのは、08年に公開された『マルタのやさしい刺繍』(06)のヒットあたりからだろうか。

最近だと、『みんなで一緒に暮らしたら』も題名通り、老人が一緒に暮らす話だったし、『クレアモントホテル』とか『マリーゴールドホテルで会いましょう』とかホテルものもそうだ。老人が集まって楽しく過ごす、というテーマが受けるのだろうか。『木漏れ日の家で』とか『愛、アムール』のような孤独な老人ものもあるが。

それに加えて、音楽ものはミュージカルを例に挙げるまでもなく、昔から当たる。最近だと『コーラス』(04)とか『オーケストラ!』(09)とかが当たった。だから老人が一緒に音楽をやったら、当たるに違いない。

6月28日公開の『アンコール‼』は、まさにそんな映画だった。老夫妻がいて、がんを患う妻は合唱団に所属している。夫アーサーは妻マリオンを愛しているが、合唱団は大嫌い。合唱団はコンクールの予選に合格し、本選に進むが……。

合唱団はそれなりに余裕のある老人が多いが、黒人もインド系もいる。夫妻の息子と、アーサーはうまくいかないが、孫娘は可愛い。すべてのカットに振り仮名が振っているように見えるくらい、話は分かりやすく、予想通りに進む。

この予定調和のいささか退屈な展開に緊張感をもたらすのは、アーサーを演じる老テレンス・スタンプ。『コレクター』(65)や『テオレマ』(68)のエキセントリックな青年も、いまや70歳を越している。彼の頑固おやじぶりは堂に入っていて、実際もそうではないかと思わせるほど。そしてその武骨な歌い方に、妙に心が動かされる。

そういえば、最近似たような映画を見た。4月19日公開の『カルテット!』。こちらは音楽家向けの老人ホームの話で中心は老カップル。どちらも音楽の練習と本番がうまくつながっていないところが気になったが。さてどちらが当たるか。

ふと、昨今の老人映画隆盛の分析は、新聞の朝刊文化面にピッタリだと思った。どうですか、石飛さん。コメントは岩波ホールとか、文化村とか。

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コメント

お!新しいワザですね。直接呼び掛けですか。確かに面白いネタだけれど、そう言われて記事にするのも癪ですよね(笑)。恩田さん、鈴木さん、古賀さん、いかがですか。

投稿: 石飛です | 2013年4月12日 (金) 10時13分

老人物というと、「コクーン」と「ドライビングミスデイジー」が浮かぶのですが。

投稿: jun | 2013年4月12日 (金) 22時38分

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