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2013年4月11日 (木)

未知の桂ゆき

実は、「桂ゆき」という美術作家を知らなかった。東京都現代美術館で「桂ゆき展」が始まったと聞いて、思い出したのは「桂由美」というブライダルデザイナーだった。昔、仕事で彼女のファッションショーを見たことがあった。乃木坂に店があるアレ。

もちろん二人は関係がない。桂ゆきは名前も知らないが、都現美で開かれる日本人作家の個展は今までおおむねおもしろかったので、その信頼を頼りに見に行った。

これが大当たり。前半は具象と抽象を揺れ動いている様子が伝わる絵が多かった。ある意味では強い個性は感じない。ところが、1950年代後半に欧米を旅行してからの画風の変化がおもしろかった。

抽象が大胆になり、まるで具体美術の創始者の吉原治良さえ思わせるような色と形への挑戦が見て取れる。それからは抑えていたものが飛び出すように、布を画布に張り付けて色を塗ったり、コルクや板を切り刻んで張り付けたり。

それでも難解さに陥ることはなく、どこかユーモラスだ。戦後すぐに絵本の挿絵を描いていたせいか、動物の顔のようなものがふんだんに出てくる。びっしりと張り付けたコルクの奥から、たくさんの目玉のようなものが覗いている平面を見て、笑ってしまった。

最後には、赤い布を使った草間弥生を思わせる立体空間があった。しかし草間のようにフェミニズムがギリギリと迫って来るのではなく、どこか牧歌的で品がいい。

この展覧会は1913年に生まれた桂の生誕百年記念展というが、東京での大きな個展は初めてという。1991年に亡くなっているが、今回の展覧会がなかったら、私は彼女の作品を知ることはなかったかもしれない。6月9日まで。

同時開催の「フランシス・アリス展」の内容のなさには、言葉を失くしてしまった。大きなアトリウムに紐が一本ぶら下がっているのには唖然とした。何というスノビズム。これは第一期で、次に第二期まであるというのが、本当に信じられない。

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