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2013年4月18日 (木)

リー・ダニエルズは、「マジ、やばい」

「マジ、やばい」というのは、最近の大学生がいつも口にする言葉で、私にピッタリ、自分のツボにはまったという感じだろうか。どこか吸い込まれるような感じに、「ヤバい」という語がもともと持つ危険さや危機感が残っている。7月27日公開のリー・ダニエルズ監督『ペーパーボーイ 真夏の引力』を見て、この言葉が浮かんだ。

リー・ダニエルズという監督は、製作した『チョコレート』(01)は傑作だが、白人男性と黒人女性の愛に、あるヤバさがあった。監督作の『プレシャス』(09)は、一見感動作に見えながらも、太り過ぎた女性主人公は普通じゃないし、シュールな場面とリアルなシーンが交差する異色作だった。

今回の『ペーパーボーイ』はそのヤバさが全開で、好き放題に自分の世界を見せている。舞台は1969年夏のフロリダ。時代も季節の暑苦しさが、フィルムで撮影した原色の粗い映像に焼き付けられている。60年代後半の雰囲気がむんむんと匂ってくる。

主人公のジャック(ザック・エフロン)は大学を中退して新聞配達をしており(だから「ペーパーボーイ」)、新聞記者の兄が取材で実家に帰ってきたのを手伝う。保安官殺しで捕まった犯人(ジョン・キューザック)の冤罪を暴くのが目的だが、弁護士はやる気なしで、犯人には怪しい色気を振りまく謎の婚約者(ニコール・キッドマン)がいる。

ジョン・キューザックは出てきた時から異常さを爆発させ、新聞記者など相手にしない。彼が面会室でニコール・キッドマンと演じる愛の場面(?)には心底驚いた。ニコール・キッドマンは若いザック・エフロンを誘惑するが、海岸の放尿シーンには絶句。

そもそもこの映画の出だしは、「カメラは回っているかい」という声で始まる。黒人女性がアップで写り、1969年当時を語り始める。彼女のナレーションで白黒の場面が出てくる。強い雨。まるで40年代のフィルムノワールではないか。

黒人女性は主人公の家のメイドで、黒人の立場から見た彼女のナレーションが効いている。そのうえ、主人公の兄の同僚の記者も黒人で、あちこちで差別を受ける。

解放されたジョン・キューザックが女と住むワニのいる湿地帯は、ほとんど人間が住むところではないし、そこに行く主人公やその兄と繰り広げる惨劇に至っては、もはや驚きを通り越した感じ。久しぶりにとんでもない映画を見た。マジ、やばい。

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