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2013年5月20日 (月)

『モネ・ゲーム』の大人向けコメディ

公開されたばかりの『モネ・ゲーム』を見に行った。実は最初この題名を聞いた時、画家のモネだとは思わなかった。チラシでモネの贋作で騙す話と知って、見たくなった。私はここでも美術について偉そうに書いているが、本当は自信がない。だから贋作と聞くとワクワクする。

オーソン・ウェルズの『フェイク』にも出てくるが、絵画には贋作がつきもので、贋作を専門に描く画家もいる。この映画は、モネの贋作を自分を雇う金持ちに売りつけて復讐しようとする美術鑑定士の話。

さぞスリルとサスペンスの映画かと思うと、大違い。『テッド』ほどではないが、ちょっとお下品な大人のコメディーだった。最初にクレジットがアニメにあわせて出てくるあたりで、ちょっと古めかしい昔のコメディを思わせる。

美術鑑定士を演じる主演のコリン・ファースが抜群におかしい。黒ブチ眼鏡の真面目な顔をして、ロンドンの高級ホテルでずっこけまくる。ズボンを脱いで歩き回るシーンのバカらしさといったら。彼に協力してやってくるテキサス娘を演じるキャメロン・ディアスは、何ともチャーミングに天衣無縫の演技を見せる。

大富豪役のアラン・リックマンも、人がいないと裸になってしまうというトンデモキャラ。この3人がこんがらがって、くだらない喜劇を見せてくれる。どうということはないが、昔のスクリューボール・コメディを思わせる1本。そう考えると、コリン・ファースがケーリー・グラントに見えてくる。監督は『終着駅 トルストイ最後の旅』が印象に残ったマイケル・ホフマン。

美術的にもきちんと押さえている。コリン・ファースが大事にするのはシスレーの渋い小品だし、大富豪の家にライオンが出てきた時には、アンリ・リソーの楽園の絵が奥に見える。肝心のモネの積み藁の絵だが、モネに積み藁の絵は何十もあるが、たぶんこの図柄は実在しない。

一点気になったのは、日本人ビジネスマンたち。彼らが実は、というオチがあるので、単なる人種差別ではないが、それにしても役者がひどく、ユーモアがクド過ぎ。ボスは「タカガワ」という名前だが、これは『ティファニーで朝食を』のユニオシと同じで、ありそうでめったにない名前。

もう一つ。銀座でやっていなかったので初めて池袋のシネマサンシャインで見たが、この大人向けのコメディには客層がヒド過ぎた。これはシャンテやシネスイッチなど銀座にピッタリの映画なのに。

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» コリン、キャメロン、アラン、そしてモネ [笑う社会人の生活]
20日のことですが、映画「モネ・ゲーム」を鑑賞しました。 美術学芸員のハリーは億万長者のシャバンダーに復讐すべくモネの名画の贋作を使った詐欺を思いつく 相棒のカウガールPJが絵画の所有者に成り済まし、ハリーは本物そっくりな贋作を用意するのだが、 超天然のPJが...... [続きを読む]

受信: 2013年5月29日 (水) 18時42分

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