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2013年5月18日 (土)

ふたたび、ベーコン展

竹橋の東京国立近代美術館の「フランシス・ベーコン展」に再び出かけた。内覧会で見た時は知り合いが多くて落ち着かなかったのでもう一度見たいと思っていたら、もう今月の26日で終わり。平日の昼間に時間がとれそうにないので、金曜の夜間開館に行った。

展覧会の中身の前に2つ驚いた。1つは18時半過ぎに竹橋駅で降りたら、ジョギングをしている人が大勢いたことだった。ほとんど途切れないほどたくさんの人々が皇居前を走っている。年齢は20代から50代までか。仕事を終えてから走るなんてすごいなと思った。日本は変わりつつあるのか。

チケット売り場でまたビックリ。何と列ができていた。夜間開館でベーコンを見る人がこんなにいるなんて。中に入っても入口のあたりにはびっしり人がいた。大学生はおそらく2割ほどで、ほとんどは仕事帰りという風情。彼らの静かな佇まいに、またまた日本は変わったと思った。

さて展覧会自体だが、やはり溜息が出そうなくらいすばらしい。1940年代から50年代にかけての暗闇の中で叫ぶような人物像から、次第に背景の色彩が豊かになる。ゴッホに捧げた極彩色の作品も、やはりベーコン流の孤独感が濃厚だ。

オレンジやピンク、空色などを背景にした異形の人物たちが続く。そして4点のトリプティック(3枚パネル作品)が並ぶ部屋は圧巻としかいいようがない。死ぬ間際のトリプティックには本人の顔まで出てくる。この展覧会は私にとって、今年のナンバーワンだろう。

家に帰って調べたら、本棚に4冊のカタログがあった。今回の出品数は33点。1983年に同じく東近美で開催した時(実は見ていないがなぜかカタログがある)は45点。93年にベネチアで見た時は62点。去年のシドニーで見た時は54点。それらがあまりかぶってないないので、パラパラとめくるだけでさらに大きなベーコンの世界が広がってくる。

83年のカタログには、《肖像(ミック・ジャガー)のための3つの習作》という題名の作品がある。やはりベーコンはポップなところがある。あるいは《マイブリッジのレスラーたち》などという題名の絵もあった。映画前史に出てくるエドワード・マイブリッジの連続写真を参考にしていたことは知っていたが、題名にまでつけていたなんて。しばらく頭の中はベーコンに支配されそうだ。

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