« 米メジャーの古典DVDを楽しむ:『或る夜の出来事』など | トップページ | 自己模倣する松竹:『はじまりのみち』 »

2013年5月16日 (木)

アメリカから見た印象派:「奇跡のクラーク・コレクション」展

丸の内の三菱一号館美術館で今月26日まで開催の「奇跡のクラーク・コレクション」展に行って驚いた。平日の昼間なのに「入場15分待ち」の立て札が出ていたからだ。明治の洋館を再現したこの美術館は、渋い企画が多いせいか、土日でもあまり人がいない印象を持っていた。

平日の2時半頃に集まっているのは、半分以上が50歳以上の女性たち。女性はグループだったり、中年男性と一緒だったりするが、何とも楽しそうだ。加えて40代までの女性が2割ほどか。

副題に「ルノワールとフランス絵画の傑作」とあるように、中身はフランスの印象派を中心とした73点。印象派はいろいろな理由で日本人に人気があるが、今回の展覧会のポイントはアメリカのコレクションだということだ。1994年に108万人を集めた「バーンズ・コレクション」展がそうだったが、アメリカのコレクションはわかりやすい。

簡単に言うと、金持ちのアメリカ人が自分の目で見て好きなものを買っているから、そのコレクションは素人目にも理解しやすい。印象派絵画は、フランスのオルセー美術館で見るよりもニューヨークのメトロポリタン美術館で見る方が、普通の観客にはピンと来るものが多い。

今回の目玉は副題にもあるようにルノワール。22点も揃っているが、これが例の金髪の浴女のような絵ばかりでないのがいい。海辺の風景はモネのように自由に目に映る光を描いているし、リンゴや玉ねぎの静物画はセザンヌを思わせる。かつて国立新美術館の「ルノワール展」を見て思ったが、ルノワールの射程は思いのほか大きいことを改めて感じさせる品揃えだった。

そのほか展覧会の最初に、印象派の先駆けとも言えるカミーユ・コローが5点あったり、アンリ・ファンタン=ラトゥールのようなアカデミズム絵画もあったりしてなかなか渋い部分もある。

後半には私が好きなベルト・モリゾとピエール・ボナールも1点ずつあった。あえてセザンヌやゴッホなどを入れず、全体の優しいトーンを一定に保っているのもいい。やはりアメリカ人を馬鹿にしてはいけない。

|

« 米メジャーの古典DVDを楽しむ:『或る夜の出来事』など | トップページ | 自己模倣する松竹:『はじまりのみち』 »

文化・芸術」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/537538/57394563

この記事へのトラックバック一覧です: アメリカから見た印象派:「奇跡のクラーク・コレクション」展:

« 米メジャーの古典DVDを楽しむ:『或る夜の出来事』など | トップページ | 自己模倣する松竹:『はじまりのみち』 »