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2013年5月15日 (水)

米メジャーの古典DVDを楽しむ:『或る夜の出来事』など

前にここで、「ユニバーサル・モンスターズ・コレクション」というブルーレイのボックスを買ったことを書いた。『魔人ドラキュラ』や『フランケンシュタイン』など8本が入っているが、素晴らしいのは多くの映像がデジタル復元版だったり、デジタル・ニューマスター版だったりすることだ。

これまでハリウッドの戦前の古典を見ようとすると、いわゆる500円DVDしかない場合が多かった。製作後50年を経ると(最近は70年に延長)、著作権がなくなって素材さえあれば誰でもDVDを作ったり売ったりできるようになる。

いわゆるパブリック・ドメイン(PD)作品というものだが、これだとコレクターが所蔵していた状態の悪い16ミリなどからどんどん廉価版DVDが作られる。いったんこうした激安DVDが市場に出回ると、アメリカのメジャー映画会社は、日本ではDVDを発売しなかった。

従って1953年までに作られた映画のDVDは、『市民ケーン』(41)だろうが『或る夜の出来事』(34)だろうが、アメリカではメジャーが自ら保有する素材から正規版DVDが出ていたが、日本では海賊版DVDしかなかった。

これが最近変わりつつある。『ジャズ・シンガー』(27)はワーナーのHDリマスター版ブルーレイが出たし、『ヒズ・ガール・フライデー』(40)も『或る夜の出来事』もソニー・コロンビアからデジタル・ニューマスター版のDVDが出ている。これが本当にくっきりした映像で嬉しくなる。

『或る夜の出来事』は、フランク・キャプラ監督のアカデミー賞5部門受賞作品。クローデット・コルベールがヒッチハイクで、スカートから足をちらりと見せて一瞬で車を止めてしまう名場面が有名だが、今度のDVDだと、網タイツの柄までくっきり見える。運転手が悩殺されて、車を止めてしまうのがよくわかる。この場面が、その後世界中で模倣されたことも納得してしまう。

あるいは、彼女が冒頭で船から突然飛び降りる瞬間の迫力もただごとではない。この映画は船、飛行機、バス、車とあらゆる交通機関が出てくる移動に突き動かされた作品だが、細部がくっきり見えることで、移動の感覚が身体的に伝わってくる。

デジタルリマスターでなくてもいいので、米メジャーはどんどん自社の持つ最高の素材で正規版DVDやブルーレイを出して欲しい。

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