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2013年5月14日 (火)

再び有馬哲夫を読む

有馬哲夫の本は、『日本テレビとCIAと』で衝撃を受けて以来、最近は新著『児玉誉士夫 巨魁の昭和史』を読んだことはここに書いた。本屋で彼が少し前に書いた『CIAと戦後日本』を見つけてまた買ってしまった。副題は「保守合同・北方領土・再軍備」。

彼の本は、アメリカで公開されたCIA文書を読み解き、日本の戦後史がいかにCIAによって操られてきたかを見せるものだ。その意味でいささか陰謀史観的な部分もあるが、いかんせんCIA文書を見せられると説得力がある。

『日本テレビとCIA』は、読売のオーナー正力松太郎が日本で初めてのテレビ局を開設し、原子力の平和利用を唱えるにあたって、いかにアメリカの援助があったかを描いた。『児玉誉士夫』は、CIAが戦後政治の黒幕と言われる児玉に接触し、資金援助を含むサポートをしていたさまを見せてくれた。

今回の『CIAと戦後日本』は、特定の人物に焦点を当てるのではなく、日本の再軍備、つまり警察予備隊から自衛隊に至る流れがすべてCIAによって導かれたことを証明するものだ。ここで驚いたのは、それが旧日本軍の生き残り幹部たちの要望と結びつき、彼らを大量に再雇用してできあがったということだ。

ソ連に対抗するための再軍備を日本側で動かしたのは、日米開戦時の駐米日本大使として知られる野村吉三郎だ。彼は海軍出身で第三艦隊司令官などを経て、外務大臣や駐米大使を務めている。彼の戦後の悲願は日本海軍の再建だった。

野村に目をつけたCIAは、彼を「リソース・パーソン」として利用し、日本の政界に入り込みながら再軍備への道を用意する。野村は海軍再建のために再軍備を支持し、CIA経由でアメリカ海軍に大量の戦艦の用意を依頼する。これが海上自衛隊となった。

もう一つ。現在「内調」と呼ばれる内閣情報調査室は、CIAが作ったというのも興味深かった。それは主として関東軍関係者を軸に、吉田茂内閣の時に作られた。ここでも戦前の軍隊がCIAの援助で戦後に復活している。

私の目下の関心は、戦後に日本映画を世界に広めたアメリカのドナルド・リチーやフランスのマルセル・ジュグラリス、イタリアのジュリアーナ・ストラミジョーリなどがCIAと関係があったのかどうかというものだ。これについてはまだ確証がないが、あちこちにヒントはころがっている。

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