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2013年5月 9日 (木)

『ベルリンファイル』に見る韓国アクション

「とにかくおもしろいから」と宣伝担当に言われて、7月13日公開の韓国映画『ベルリンファイル』を見に行った。確かに丸2時間、目まぐるしいほどのアクションの連続に眩暈がするほどだった。最近、『藁の楯』や『図書館戦争』と日本のアクション映画を見たので、いろいろ考えた。

これらの映画と『ベルリンファイル』はどこが違うか。『図書館戦争』は、設定自体がSF仕立てで、子供が夢見るファンタジーに近い。どんなに5000発の銃声が鳴っても、どこかおもちゃに見えた。そのうえ、根本に現代日本の甘えの構造を無自覚に反映させている。

『藁の楯』は、日本では成立しにくいアクションを、あくまで作り事と割り切って見せる聡明さを持つ。最初からB級を追求した確信犯だ。

これらに比べると、『ベルリンファイル』には現代世界の問題がすべて含まれている。北と南の朝鮮半島問題に始まり、北朝鮮のアラブへの武器輸出、アラブとイスラエルの対決、そしてロシアやアメリカの影。さらにキム・ジョンイルからキム・ジョンウンへの世襲時の海外資金流出が加わる。

物語は、ベルリンの北朝鮮大使館を舞台に、武器取引を進めるアラブ人やロシア人、韓国のスパイ達、裏取引をするイスラエルのスパイやドイツ高官を交えてその攻防を描く。北朝鮮の謎の諜報員と北朝鮮大使館で勤めるその妻が主人公だが、北朝鮮内部でも裏切りが生まれて後半はそれが中心になる。

この状況で、目まぐるしいほどのカット割りを使いながら、恐ろしいほどのスピードで見せてゆく。極めてわかりにくいけれど、これが現代社会だと思ってしまう。そしてラストは西部劇のような荒野の一軒家で、北朝鮮同士の戦いにアラブと韓国が加わったバトルが展開する。

俳優の存在感が抜群だ。主人公の北朝鮮諜報員役のハ・ジョンウ、彼を殺してのし上がろうとするリュ・スンボム、韓国側のスパイのハン・ソッキュ。実は私は韓国映画にくわしくないので彼らがどの程度有名かわからないけれど、このレベルの俳優は日本にいるだろうか。あえて言えば亡くなった松田優作や原田芳雄か。

傑作というつもりはないけれど、『007 スカイフォール』さえ白々しく見えるほどのリアリティとスピード感は特筆すべき。個人的には、ベルリン市内のフリードリッヒシュトラッセ駅やブランデンブルグ門などが出てくるのも懐かしかった。

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