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2013年6月17日 (月)

わからないがおもしろかった『オブリビオン』

昔はSF映画が苦手だった。何より、くわしい友人が『スターウォ-ズ』などの細部を嬉しそうに語るのが嫌だったのかもしれない。このブログに書いている通り、最近は話題の新作SFをかなり見ている。きっかけは3年前の大学院生との授業だった。

大学院の授業は1人や2人のことが多いが、その年はチェコ人を含む3人の院生と共に半年間SF映画を研究した。中に1人詳しい学生がいて、彼にリストを作ってもらい、毎回事前に1作品ずつ見てきてみんなで分析をした。その時大半の古典は見たが、思ったのはSF映画は互いに影響し合っていて、全体で大きな世界を作っているということだ。

今回、ジョセフ・コシンスキー監督の『オブリビオン』を見ても、さまざまなSF映画が思い浮かんだ。荒れ果てた地球の風景は『猿の惑星』だし、記憶を失った男の話は『トータル・リコール』だし、意識を持つアンドロイドは『ブレード・ランナー』だし。

主演のトム・クルーズがいい。彼も『マイノリティ・リポート』や『宇宙戦争』などSFにもいくつも出ているが、手を大きく振って一生懸命に走る姿を見るたびに、嬉しくなる。

2077年、トム・クルーズ演じるジャックは記憶を抜き取られて、人間が他の惑星に移った後の地球で無人偵察機ドローンの修理をしながら妻と暮らす。パトロール中に見つけた宇宙船にいたジュリア(オルガ・キュリレンコ)は、どこか見覚えがあった。そして彼女を救うために謎の首領ビーチ(モーガン・フリーマン)率いる部隊と戦う。

途中で敵が味方になったり、トム・クルーズがもう1人出てきたりしてだんだん訳が分からなくなるが、それでも最後まで目が離せないのは、荒涼とした昼間の地球の風景が魅力に満ちているからだ。2017年、最後にスーパーボールが開かれたスタジアム跡やジュリアと待ち合わせをしたエンパイア・ステート・ビル。あるいは本が散乱するニューヨーク中央図書館や高層ビル街の残骸。

砂漠としかいいようのない空間はアイスランドで撮影されたというが、常に昼間が描かれるSFは珍しいのではないだろうか。そして、ジャックが住む「スカイタワー」(プール付き!)やパトロール機「バブルシップ」、無人偵察機ドローンといった装置がこれまでSFの最先端を行く感じで何ともクール。

冒頭に白黒でニューヨークでトム・クルーズがオルガ・キュリエンコのあの謎の瞳を見るシーンがあるが、それから最後まで彼女の瞳への郷愁のようなもので全体が貫かれている。劇中に何度か出てくるワイエスの絵がその象徴だ。最近戦前の日本映画ばかり見ているので、頭の中を洗濯したような気分になった。

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» 映画:オブリビオン Oblivion 久々に本格的SFを観た、ていう感覚。これって なんかうれしいかも? [日々 是 変化ナリ 〜 DAYS OF STRUGGLE 〜]
西暦2077年。 主人公元海兵隊司令官ジャック・ハーパーは、荒廃した地球の監視任務で派遣される。 60年前に起きた異星人スカヴとの戦争により人類の大半は、他の惑星へ移住。 荒廃した地球(写真)での任務は、あくまでも「監視」なので、簡単なはずの任務だった。 が...... [続きを読む]

受信: 2013年6月17日 (月) 22時07分

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