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2013年6月21日 (金)

レオナルドの手稿に唸る

東京都美術館で今月の30日(日)まで開催されている、「レオナルド・ダ・ヴィンチ展 天才の肖像」を見に行った。見ようかどうしようかと思っていたら、先日偶然この展覧会の監修をしているO先生に久しぶりに会って、「見てくださいよ」と言われたからだ。

これがなかなかおもしろかった。いわゆるレオナルド(最近は「ダ・ヴィンチ」ではなく、欧米と同じく「レオナルド」と呼ぶらしい)の油彩は1点しかない。《音楽家の肖像》で、レオナルド唯一の男性肖像画であり日本初来日というが、私にはあまりピンとこなかった。

むしろ《アトランティコ手稿》と称される22枚のメモが興味深かった。一枚のメモに永遠機械を始めとするいくつもの機械類のデッサンがあり、その横に小さな字で書き込みがされている。私はとりわけ、幻灯やカメラ・オブスクラのような図を始めとする光学研究のメモに心を奪われた。

ある風景が、小さな穴を通じて暗い部屋の中にさかさまに図を結ぶ。写真や映画の原理であるが、レオナルドは15世紀末に明確に示している。あるいは複数の影をいくつか組み合わせるとどうなるかという研究もある。映像の起源を考えるうえで、極めて貴重なものだ。

残念なのはそこに書き込まれた手書きのメモ(ラテン語?)が読めないことだ。そのいくつかは解説パネルにあるが、不十分。それぞれのメモの横に、その数倍の拡大写真を置き、書かれた内容をすべて訳して欲しかった。そして一枚一枚のメモから想像できる解釈を何通りもパネルに書いてほしかった。

カタログを見たが、そこにもくわしい解説はなかったので買わなかった。なぜかTBS文化事業部から大学の私宛に大量に届いていたタブロイド判の裏表8ページの印刷物の方が、図版が大きくてずっといい。何度も広げて楽しんでいる。

ついこの間まで国立西洋美術館では「ラファエロ展」が開かれていたし、9月にはそこで「ミケランジェロ展」が始まるという。作品数は少なくても、ルネサンスの三大巨匠の本物が東京でしかも半年の間に見られるのは奇跡に近い。「日本におけるイタリア2013」ということらしいが、2001年の最初のイタリア年のことをいろいろ思い出した。これについては後日書く。

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