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2013年7月29日 (月)

真夏に「大妖怪展」

暑い。そのうえにしばしば夕方に雨が降る。なんだか日本情緒を感じて、日本橋の三井記念美術館に「大妖怪展」を見に行った。ここは、普段は所蔵作品を中心に展示しているが、今回はほとんどを他から借りた企画展。

この美術館ができたのは数年前だが、同じころにできた三越一号館美術館と並んで、建物というか空間の豪華さが「ドーダ」という感じで、三井、三菱といった財閥がいまだに健在であることを示している。

展示の冒頭に歌川国芳の大きな骸骨の浮世絵《相馬の古内裏》があって、ガツンとやられる。ほとんど漫画のような単純明快な造形だ。そして月岡芳年の情緒たっぷりの《和漢百物語》シリーズ。このあたりの江戸時代の妖怪は何とも俗っぽい。

それに比べると、鎌倉時代の《北野天神縁起》などの絵巻は、「荒ぶる神の擬人化」でもっと形而上的な恐怖を表現している。あるいは南北朝時代の《是害房絵巻》は、動物が人間のように振る舞っている図で、鳥獣戯画の延長線上だろう。明治時代の河鍋暁斎による同じタイプの絵もあった。

おもしろかったのは、東京国立博物館所蔵の《不動利益縁起》の模型(フィギュア)版が展示してあったことだ。これは今回作ったのではなく、国立歴史民俗学博物館から借りたたものらしいが、「外道を調伏する安倍晴明」と名付けられて、5つの化け物たちを前にして祈る男が何とも滑稽だ。このおかしさは、フィギュアにしてこそ伝わってくる。

映画の原型の一つである、「江戸写し絵」も展示されていた。こうやって見ていると、江戸時代の浮世絵や木版の本に描かれた幽霊や化物は庶民的でわかりやすく、現在の漫画やアニメ、ホラー映画などに引き継がれているこtがよくわかる。

その証拠に最後に水木しげるの漫画の原画が展示されているが、何の違和感もない。明らかに国芳を真似たものさえある。

映画や漫画というのは、20世紀になって絵画や小説が考え過ぎて難しくなった時に、その俗っぽい部分をいつのまにか取り込んで、大衆の芸能として大きくなっていったのだと痛感した。

この展覧会は9月1日まで。10点前後の重要文化財の絵巻などは展示替えがあるが、展示できない時期は複製パネルでもいいから見せて欲しい。

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