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2013年7月22日 (月)

参院選挙の日に『風立ちぬ』を見る

公開が始まったばかりの宮崎アニメ『風立ちぬ』を、満員の劇場で見た。見た昨日はちょうど参議院選挙の日で、今、自民大勝のニュースを見ながら、映画を思い出している。私にはなぜかこの2つが重なって見えた。

映画は零戦闘機の設計士・堀越二郎と、小説家の堀辰雄の生涯を組み合わせたような形で、関東大震災から敗戦までを描いている。

なぜ自民大勝とイメージが重なったかというと、映画の主人公二郎の生き方が、美し過ぎたからだ。耽美主義といったらいいのか。彼はイタリアやドイツの飛行機を見て何度も「美しい」とつぶやく。あるいは軽井沢の高級ホテルで理想の女性に求婚し、後に結婚する。その女性は結核で軽井沢のサナトリウムにいた。

その美しさの中で戦争は進行し、大量のゼロ戦が作られ、戦士を乗せて旅立つ。最後に落ちたゼロ戦の残骸が映る。

あえて反戦の映画にしないというのは、宮崎駿の確信犯的な姿勢だと思うが、それにしてもこれでいいのか。今回はいつもの子供の世界ではなく、大人の世界が描かれている。その中で二郎は、最後まであえて世界のことを知ろうとしない子供の心で生きてゆく。

始めのあたりの関東大震災は迫力満点なのに、あえてその悲惨さは描かない。ましてや第二次世界大戦については一切見せもしない。その分、軽井沢や名古屋郊外の美しい自然をたっぷり見せる。これでは「美しい国、日本」だ。

そういうこと以上に気になったのは、単純に映画的なおもしろさが少ないことだ。二郎がゼロ戦を少しずつ開発し、その成果が見えるシーンをもっと見せて欲しかった。それに比べて、二郎が憧れたイタリアのカプローニとの夢のシーンや婚約者の菜穂子とのやり取りが長すぎる。せめてゼロ戦が戦闘で活躍する姿を、一目見たかった観客は多いのでは。

もちろん、自然の描写は息を飲むほど美しい。とりわけぼかしを使ったような雲や雨の表現は、ほとんど横山大観とか川合玉堂の域に達している。だからこそ、見ていてこれでいいのかと思った。そうして最後に荒井由美の「飛行機雲」が流れた時、不快に思った。そもそもユーミンもサザンも苦手だが。

私はもともとアニメがわからないし、宮崎作品もすべては見ていないが、とりあえずこれが参院選翌日の感想。


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