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2013年7月 5日 (金)

また一つゲンズブール映画が

7月後半に公開される『ノーコメントbyゲンズブール』を見た。実はゲンズブールには関心がなかったが、もうすぐ公開の『最後のマイ・ウェイ』のイベントに協力したので、60年代以降のフランスのポップスが気になっていた。あるいは先日見た『トラブゾン狂騒曲』でドキュメンタリーづいていたのかもしれない。

こちらは『トラブゾン狂騒曲』と違って、無名のピエール=アンリ・サルファティが監督。おもしろいのは、ゲンズブールについて誰かが語るのではなく、彼自身が語った映像や音声でできている点だ。

一番びっくりしたのは彼の話し声。まるでゴダールのようなだみ声で、歌手とは思えないほど。それから珍しい映像がいくつもあった。俳優のミシェル・シモンと森で戯れている。『牝犬』(31)や『素晴らしき放浪者』(32)の怪優が、そのまんま老いた感じの自由な姿でゲンズブールと遊んでいる。「シモンやギャバンとはよく飲んだ」というゲンズブールの声。

アンナ・カリーナといちゃついている映像もいい。「世間では醜男だと言われてるけど、おかしな話よね。なぜ、そんなこと…私はそうは思わない」とカリーナ。ブリジェット・バルドーと仲良かった頃の2人の姿も珍しい。彼女が歌う溜息のような『ジェテーム、モア・ノンプリュ』。ジェーン・バーキンは何度も出てくるが、若い頃の彼女の輝きにはびっくり。

自分は心も魂もスラブだとか、最初に好きになった歌手はシャルル・トレネとか、自分はロシア人でユダヤだから黒人みたいなものとか、皮肉と女嫌いは本性とか、興味深い独白も多い。『ロリータ』やロートレアモンを朗読したり、ラファエロやピカビアの話をしたり、エブラハム・ポロンスキー(『悪の力』!)と映画について話したことを思い出したりと、ずいぶん教養のあるところを見せる。

しかしながら、ロシア映画『子犬を連れた貴婦人』のシーンを使ったり、スターリンやヒットラーのニュース映像まで使った部分はどうか。ましてや再現ビデオのように、新たに撮ったイメージ映像は興醒めだ。それらを差し引いても、見る価値はあるけれど。

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