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2013年8月27日 (火)

250万円で作った映画『ストラッター』

総製作費2万5千ドル、つまり約250万円のアメリカ映画を見た。9月14日公開の『ストラッター』だが、これがちょうどジム・ジャームッシュが『ストレンジャー・ザン・パラダイス』で、レオス・カラックスが『ボーイ・ミーツ・ガール』で出てきた時のような感じの、痛快なオフビートの白黒映画だった。

最愛の恋人ジャスティーンからふられたロッカーのブレットは、バンドのメンバーが辞めたり、母親の元恋人が帰ってきたりしてさえない日々が続く。そのうえ、ジャスティーンが付き合いだしたのは、彼が地元で一番尊敬するロッカーのデイモン。

ブレットは楽器店に勤めながら、悶々とした日を過ごす。デイモンの店に殴り込みに行くが、勧められたレコードを買う始末。ところがデイモンはジャスティーンと別れ、母親の元恋人と共に、ブレットは3人で「砂漠のツアー」に旅立つことになる。

ロックを愛するさえない男達をまるでドキュメンタリーのように即興的に撮るかと思うと、突然演奏のシーンが現れたり、バッハの無伴奏チェロが鳴り響いたり。私はわからないが、プレス資料によれば、渋いロックが目白押しのようだ。映画には、ipodはおろかCDさえもなく、大きなドーナツ型のレコードばかり。

彼らが行く映画館は「Silent Movie Theater」(無声映画館)で、カサベテス特集の看板があったり、メアリー・ピックフォードの弟の出る映画が流れていたり。やけになったフレッドに8ミリカメラ(!)を向ける女性の名前はクレオで、本棚にはアニエス・ヴァルダの本が並んでいる。

監督は1954年生まれのアリソン・アンダースと63年生まれのカート・ヴォス。彼らは87年の『ボーダー・レディオ』でデビューしているというから、まさにジャームッシュ世代だった。それにしても、この自嘲気味でオフビートでレトロな感覚は、最近味わっていない。我々の世代にはグッとくる珠玉の小品だが、今の若者にはどう見えるだろうか。

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