映画『立候補』の衝撃
先日、9月21日公開の映画『凶悪』の試写を大学でやった時に、打ち上げで白石和彌監督が熱っぽく語っていたのがこの映画だった。そこにいた日活のスタッフも絶賛していた。そこで慌ててポレポレ東中野に出かけて行った。
いやあ、おもしろかった。ここに何度か書いたように、ドキュメンタリーは抜群に興味深い対象を見つけて、それに肉薄できれば成功する。演出や映像の技術はその次の話。この映画もその1本で、マック赤坂を中心に、選挙に出るいわゆる「泡沫候補」たちに迫ったものだ。
まずマックがおかしい。変な格好をして踊ったり歌ったりしながら、ゲリラ的に選挙運動をする。自分の政見放送をテレビでで見て、「自分で見てもおかしいわ」と言う。大阪府議選なのに、京都に行って京大で学生と揉める。警察や公安にマークされるが、逆に「公職選挙法で逮捕されるのはそっちや」と脅す。時々紙パックの「鬼ころし」をストローで飲みながら。
府議選最終日に難波で橋下、松井の最後の挨拶に乗り込み、10分間の挨拶を実現した時は、何だかジンとしてしまった。「橋下はん、心がひろいな」と言いながら、彼らの演説を見守る姿が印象的だ。都知事選でも秋葉原の安倍や麻生の演説を邪魔するが、こちらは不発。
マックのまわりの人々もいい。特に運転手兼秘書の櫻井が極めてまともだ。実は重病の幼女を抱え、妻と長男と病院の庭にいる時に風が舞うシーンなど、何とも泣けてくる。櫻井の長男はマックを「きもい」と言う。マックの息子もクールでいい。父親を理解できないとしながらも、秋葉原の演説を手伝い、日の丸を掲げて安倍を応援する人々に悪態をつく。
マック以外に府議選に出た3人も出てくる。全く選挙運動をせず、自宅を訪ねると困った様子の岸田修。高橋正明は69歳で小学生の娘を連れて出てきて、「おもろい父ちゃんやったなあ」と思い出してくれればと言う。中村勝は「世のため人のため」と言い、運動中に小学校の旧友と再会する。
見ているうちに、「泡沫候補」たちがまともに見せてくるから不思議だ。警察や橋下のまわりのガードマンや安倍を日の丸で応援する人々が、何だか不気味に見える。
6月末に公開した頃は連日満員だったらしいが、今でも平日の昼間でかなり入りはいい。近所の主婦など普通の人が来ている感じだが、上映中もクスクス笑いが起こる。とにかく必見の映画。
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