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2013年8月19日 (月)

男性の日傘はエレガントか

最近、男性用の日傘が売れているという。何となく私も欲しくなって、お盆休みに通りがかった銀座松屋で聞くと、男性向け晴雨兼用の折り畳み式は入荷待ちだと言われた。本当に流行っているようだ。

日傘をさす女というのは、エレガントだ。最近見た清水宏の映画でも、都会の女、カフェの女給、二号さんといったモダンな女たちは必ず日傘をしていた。例えば『按摩と女』の温泉街にいる謎の東京の女(高峰三枝子)は、日傘をして和服で歩く。特に池のそばを歩くシーンは、3つの固定ショットをディゾルブでつなぎながら、遠ざかる様子をエレガントに見せていた。

絵画で言えば、モネの《日傘をさす女》だろう。草原の中で青空をバックに傘をさすモダンな女性は、その後いろいろなところに広がったモダンガールのイメージの源泉ではないだろうか。手元にある2007年の「モネ展」カタログには、1886年のオルセー美術館所蔵の油彩と国内にある同タイプのデッサンがある。このパターンの絵は数点あるようだ。

その絵を見ていて「あっ」と思った。『風立ちぬ』のポスターにも使われている、草原で菜穂子が日傘を立てて絵を描くシーンは、明らかにここから来ている。手前の緑といい、青空といい、白っぽい傘や衣装といい、間違いない。

さて男性の傘はあるのかとあちこち探していたら、思わぬところに見つかった。映画を発明したリュミエール兄弟が日本に派遣した2人のカメラマンが日本で撮影した風景に、傘をさした男が写っている。1897年から99年のことだから、明治30年頃だ。

「京都の橋」という作品には、左側に「四条小橋」という橋の名が見えるが、奥の方に傘をした男性が複数写っている。あるいは「神道の行列」という作品でも、行列をする男女は日傘をさしている。

すると、男性が傘をさす習慣は、明治中期には定着していたことになる。これがなくなるのはいつ頃だろうか。そして日本が国際社会から落ちぶれてゆく今頃になって流行りだすとは、何を意味するのか。

そんなことを考えながら、今日こそは日傘を買おうと思っている。晴雨兼用の折り畳みなどというセコイものではなく、がっちりとした日傘を買いたいのだが、そうすると失くしそうだし。エレガントへの道は遠い。


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コメント

ひとごみでの日傘、やめてほしい。
雨の日であれば、みんな傘をさしているので問題ないのだけど、天気のいい日に日傘は、邪魔であぶない。顔をつかれそうでこわい。特に、電車のホームでやめろといわれているのに、まだ日傘をさすのは全くわからない。
また、なぜ日傘がいるのかがわからない。ぼくはたまに外に出るのと気には、なるべく日向を歩く。あまりに暑い日で、体に悪そうな日以外は。帽子をかぶればいいではないですか。東京で、日傘はやめましょう。

投稿: jun | 2013年8月19日 (月) 22時12分

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