またまた個人コレクション2つ
また、個人コレクターが集めた美術をまとめた展覧会を2つ見た。1つは国立新美術館の「アメリカン・ポップ・アート展」で、もう1つは山種美術館の「速水御舟展」。前者がジョンとキミコのパワーズ夫妻の個人コレクションとは、実は行くまで知らなかった。
「アメリカン・ポップ・アート展」には、ラウシェンバーグ、ジョーンズ、オルデンバーグ、ウォーホルなど、いわゆるポップアートの巨匠たちの作品が、約200点並ぶ。さすがに個人が買ったものなので、シルクスクリーンやリトグラフなどの複製ものが多いし、作品も小ぶりだ。
それでもジャスパー・ジョーンズの旗や地図や数字の並ぶコンセプチュアルな図像は、何とも刺激的だ。そして何よりアンディ・ウォーホルのシルク・スクリーンの連作は、鮮やかで心地良い。毛沢東やマリリン・モンローといった話題の人物もいいが、コレクターのキミコ自身を題材にした連作が何ともカッコいい。和服を着てツンと斜めを向いた姿に、鮮やかな色彩が躍っている。
それから、キャンベル・スープ缶のシリーズも改めて傑作だと思った。特に《200個のキャンベル・スープ缶》は大作で、眺めているだけで楽しくなる。途中でキミコ氏がウォーホルについて話している映像が流れていた。ウォーホルは彼女の写真を100枚くらい撮って、三か月後にシルク・スクリーンができたという。
金持ちのアメリカ人と結婚して、大きな邸宅に住んでアーティストと仲良くしているキミコ氏は、何とも羨ましい限りだが、そういう日本人女性は世界中にいるのかもしれない。この展覧会は10月14日まで。
ラッキーと言えば、山種美術館の三代目館長の山崎妙子氏はどうだろうか。というのも、彼女が山種美術館の入口にあった解説ビデオの冒頭で挨拶している姿が、何だか妙に苦しそうに見えたから。祖父が築いた証券会社を父親がつぶし、自分は彼らの美術コレクションを引き継ぐというのは、どんな気分だろうかと勝手に思ってしまった。
この美術館は兜町や半蔵門にあった頃は行っていたが、広尾に移ってからは初めてだ。「速水御舟展」は、彼の作品だけではなく、「再興院展100年記念」とあるように院展の歴史を速水を中心にたどるもの。その分、速水作品が少なくてがっかりしたが、それでも亡くなる直前の、黒を中心として緑や赤がほのかに漂う一連の静物画には魅了された。日本画の奥は深い。こちらは10月14日まで。
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