17年ぶりのアメリカ大陸
長い間、外国と言えば、ほとんどヨーロッパばかり行っていた。今回、トロントとブエノスアイレスに行くことになったが、アメリカ大陸に行ったのは1996年以来17年ぶり。その時はジャン・ルノワールの全作品上映のために、カリフォルニアの山奥に住む彼の息子にインタビューをしたり、UCLAで資料を調べたりした。
初めてエア・カナダに乗った。最近何年か連続して北米で一番の人気の航空会社らしいので期待していたが、ヨーロッパに行くエール・フランスや日本航空に比べると、ずいぶん大雑把なサービスに思えた。
まず食事のメニューの紙がない。あれを見るだけで楽しいのに。突然「ビーフ・オア・チキン?」と聞かれた。欧州便だと和食があるが、それもない。食事自体はまずくはないが、プラスチック容器があまりにチャチで悲しくなった。
驚いたのは、夕食と朝食の間に、カップラーメンとサンドイッチとビスケットが配られたこと。日本時間で夜中の11時頃で、ヨーロッパ便だと希望する人だけが取りに行くシステムだったと思う。ラーメンのお湯を全員分入れた後に配るから、麺は伸び切っていた。
映画の選択は日本航空よりはいいし、何より本数が多いが、題名や内容が機内誌にもどこにも書かれていない。画面をめくっても、英語題と言語と2行の内容と長さしかなく、監督名も俳優名もないから探すのが大変。邦画はほとんどないが、「ワールド」というくくりで、なぜか『図書館戦争』と『ライク・サムワン・イン・ラヴ』があった。「クラシック」という枠には、『ラスト・タンゴ・イン・パリ』や『大人はわかってくれない』があったのが興味深かった。
結局見たのは、11月末に日本で公開する『グリフィン家のウェディング・ノート』と『大人はわかってくれない』。前者はロバート・デニーロやダイアン・キートンらスターが大勢出る、いわゆる結婚式コメディだが、後者は実に30年ぶりくらいに見て、実に新鮮だった。
『大人はわかってくれない』を見たトリュフォーの両親が、怒って描いた手紙を山田宏一さんの『トリュフォーの手紙』で読んだのを思い出した。確かにあれを見たら怒って当たり前だろう。
映画の中で両親と一緒に見る映画が、リヴェットの『パリはわれらのもの』なんて30年前は気づかなかったし、ジャン=クロード・ブリアリやジャンヌ・モローがほんの少し出るシーンやレオーが『不良少女モニカ』のポスターを盗むシーンも覚えていない。
11時間余りの飛行機の後にトロントに着く。エコノミーだったが、1万円ほど余計に払って非常口そばの足が伸ばせる席にしていたので助かった。旅行中もこのブログは日本時間の朝に更新予定だが、途切れた場合はご容赦を。
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