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2013年9月 7日 (土)

ソフィア・コッポラの巧みさ

12月14日公開のソフィア・コッポラ監督『ブリング・リング』を見た。もともとこの監督のガールズ感覚というか、若い女性のメランコリーは個人的にはピンとこないと思っていたが、『SOMEWHERE』に至ってオヤジが出てきたこともあって妙に心が動いた。

今回はまた元に戻った感じ。5人の若者がハリウッドのセレブの家に次々に泥棒に入ったという実際の事件を元に描いたものだが、そこにも全体に現代の若者らしい孤独感が漂っている。

構成が巧みだ。最初に5人が大きな屋敷に入る様子を撮った監視カメラの映像が映る。少女の1人が「今回の件も、人生における“学びの場”だと思うの」「将来は国のリーダーになりたい」と語る。そこに入る「1年前」というテロップ。

出だしからもう事件が終わっていることを示し、少女のイタイ発言を入れる。それから事件の始まりを示す。セレブに憧れる普通の高校生が、彼らがいない間に盗みに入ることを思いつく。そして仲間も増えて、パリス・ヒルトンの家などを堂々と何度も荒らす。

セレブのクローゼットから好きなものを盗み出し、それを着て出かけるパーティ。そして自分たちの写真をフェイスブックにアップして、セレブの仲間入りをした気分になる。唯一の男性のマークが心配性で、彼の視点が中心になり1年後のインタビュー映像も途中で交えられることから、いずれ捕まるなという感じが徐々に伝わってくる。

90分の映画で後半30分は逮捕から裁判まで。「逮捕後にフェイスブックに800人から友達申請が来た」と話すマイク。少女たちはそれぞれに自己主張をし、冒頭のトンデモ発言につながってゆく。

セレブとブランドとインターネットから生まれた犯罪。今の日本の若者の関心事からも遠くない世界だが、これを非難するわけでもなく、センチメンタルなエンタメとして描くところがこの監督の巧みさと言うべきだろう。音楽もその盛り上げにピッタリ。

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