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2013年9月 5日 (木)

通りががりに見た美術展2本

展覧会は映画と違って自分の時間で見られるのがいい。つまらないと思ったら、5分で駆け抜けることもできるし、1時間かけてじっくり見ることもできる。いずれにしても映画より時間がかからないから、空いた時間に行くのに向いている。

美術は映画と同じく視覚芸術だが、映画のように物語主体でなく、抽象性が高い。日頃映画ばかり見て無限のストーリーが詰まっている頭には、いい刺激になる。

そんなわけで今回予定せずに見たのは、三菱一号館美術館の「浮世絵 Floating World」展とニューオータニ美術館の「松井康成展」。

「浮世絵」展は、川崎の斎藤文夫氏の膨大な浮世絵コレクションを3回に分けて見せるもので、私が見たのは第3期の「うつりゆく江戸から東京 -ジャーナリスティック、ノスタルジックな視線」。広重などもあるが、東京や横浜を描いたものなので、これが両国か、上野かと楽しめる。

私が今回おもしろいと思ったのは、明治期の浮世絵。とりわけ小林清親のものは、西洋式の遠近法が取り入れられていて、濃い陰影がつけてある。《九段坂五月夜》や《東京小梅曳舟夜図》、《高輪牛町朧月景》など、夜を描いたものが多い。

それらの写実的になった浮世絵を見ると、当時の東京の夜には本物の闇があったことがよくわかる。わずか120年ほどの間に、24時間営業のコンビニまでできて、東京から闇が消えてしまった。たぶん1960年代、東京オリンピックあたりから日本は変わってしまったのではないか。

江戸時代の浮世絵にも夜は描かれているが、清親のものほど暗くない。夜をリアルに暗く描くという発想自体が、西洋的リアリズムなのかもしれない。8日(日)まで開催。

ニューオータニ美術館はホテルの中にある小さな美術館だが、時々おもしろい展覧会をやっている。今回の松井康成展は、出品作のほとんどを茨城県陶芸美術館から借りてきたもので、没後十年の記念展。1970年代から30年間の松井の作品が並んでいて、その軌跡がよくわかる。

「練上」と呼ばれる、種類の異なる土を組み合わせて模様を作る手法の進化は見ていて、目に快く見ごたえがあった。私にはその繰り返しの模様が何となく三宅一生の服のように見えたが、どうだろうか。こちらは9月23日まで。

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