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2013年9月18日 (水)

何とも不思議なトロント国際映画祭:その(6)

ブエノスアイレスに着いて既に2日目だが、トロントで最終日に一般上映で見た3本について忘れないうちに書いておく。イェルヴァン・ジァニキアンとアンジェラ・リッチ・ルッキはイタリアの2人組のベテラン監督で、これまで古い映像のフッテージを使った何とも不思議な作品を作ってきた。

今回の「野蛮な国」はPays barbareは、ムッソリーニのアフリカとのかかわりを、当時個人が趣味で撮った無数の映像を使って描いたもの。冒頭の、並んだ無数の死体を見に大衆が押し掛ける場面に、まず息を飲む。

ムッソリーニがアフリカを植民地にし、行進をしたり、大量の武器を運んだり、虐殺を指示したりする映像を、反転し、スローモーションにし、赤や青の色をかぶせ、ナレーションや歌などを挟み込んで見せてゆく。アマチュアの拙い粗い映像が、なぜかファシズムの恐ろしさを雄弁に語る。

フランスのアラン・ギロディーの「湖の不審者」L'inconnu de lacはゲイが集まる湖のほとりに起きた事件を描く。最初はゲイ同士の駆け引きが描かれるが、主人公が好きになった謎の多い男が実は…という話。コミカルなドラマがいつのまにかサスペンスに変わってゆくさまを、丁寧な映像で見せた。

男性同士の性描写が半分はあっが、何人もの男性器をアップで長時間見たのは初めてで、気持ちが悪くなった。満員の観客のウケは悪くなかったが。

映画祭の最後に見たのは、フランスのフランソワ・オゾンの新作「ヤング&ビューティフル」Jeune & jolie。パリで何不自由なく暮らす17歳の美人の娘に起こる性の冒険を描く。両親と出かけたバカンスでドイツ人と初体験をした娘は、あるきっかけから金持ち相手の売春を始める。それはある時事件につながって、両親にばれてしまう。

いったい何を言いたいのかわからない映画だが、主人公の弟や両親とのやりとりが絶妙で、物語に引き込まれる。終盤、シャルロット・ランプリングが突然出てきてからのスリリングな展開も悪くない。才人オゾンはどんな物語でも彼なりの工夫をして映画として見せてくれるが、この映画を見たら何だか器用貧乏のような気もしてきた。

映画のクレジットが出始めたところで駆けだして、タクシーに乗って空港へ。また来たくなるような、なかなか快適な映画祭だった。食事だけは、ベネチアに到底かなわないけれど。

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