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2013年9月15日 (日)

何とも不思議なトロント国際映画祭:その(3)

寒い。着いた日の夕方は32度だったが、昨日は最高気温が12度で、一挙に夏から冬になった感じ。実は寒いと感じるのは気候のせいばかりではない。日本の映画関係者がどんどん帰国してゆくのだ。

もともと国際映画祭のビジネスは前半に集中する。カンヌなどは初日の3日ほど前に交渉が始まって、映画祭が始まると2、3日で帰る人が多いという。トロントに私が着いたのは2週目の火曜の夜だが、水曜、木曜には多くの日本の映画関係者が帰って行った。これで寒くなると、やはり寂しい。

それでも映画の上映はカンヌやベネチアのようにせめて土曜まではきちんとやるかと思ったら、何とプレス・業界向けの上映は金曜までしかない。それも金曜には数が極端に減っていて、見るのが限られていた。

前置きが長くなったが、というわけで昨日見たのは2本。先日のベネチア国際映画祭で銀獅子賞(監督賞)と主演男優賞の2冠となったギリシャの「ミス・バイオレンス」Miss Violenceと、アメリカのドキュメンタリーの巨匠フレデリック・ワイズマンの「バークレーにて」At Berkley。

「ミス・バイオレンス」の監督は、今回が長編2作目というアレクサンドロス・アブラナス。映画は幸せな家族の誕生日に、11歳の娘アンゲリキが飛び降り自殺をするところから始まる。そこからこの家族に潜む恐るべき闇が次第に明らかになってゆく。

半分以上が家の中のショットだが、登場人物をまるで小津の映画のように正面から撮ったり、前後左右への奇妙な移動撮影を見せたりして、不穏な感じが伝わってくる。そのうち、長女のエレニは「妊娠した」と言い、小さな娘と少年は彼女の父親のわからない子供だということがわかってくる。

つまりは三世代家族なのだが、父親が高圧的ですべてを支配していることがだんだん見えてくる。それに反発して太腿に剃刀を入れるアンゲリキの双子の姉妹。そして実はこの父親はとんでもない存在だったというのが後半に突如出てくるが、まさかと思ってびっくりした。才能のある監督だが、内容がきつ過ぎるので、劇場公開は難しいかもしれない。

たぶん明日も見る映画が少ないので、「バークレーにて」についてはまとめて書く。映画祭で1日に2本では暇だろうと思われそうだが、会食をしたり、会いたいという人が現れたり、インタビューをしてくれと頼まれたりして、案外忙しい。

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