« 堂本尚郎さんの笑顔 | トップページ | 旅行中に読んだ本:『誘拐』 »

2013年10月10日 (木)

42分のリンゴの映画

先日、馬が主人公の映画『祭の馬』について書いたが、今度はリンゴが主人公の映画を見た。12月7日公開の横浜聡子監督の『りんごのうかの少女』で、わずか42分の中編だが、リンゴと一体化するような不思議な気分になれる。

物語は、青森県弘前市のリンゴ農家を舞台に、家出を繰り返すりんことその家族を描く。母親が工藤夕貴で父親が永瀬正敏という『ミステリートレイン』の2人なので、どこかレトロな感じが出ていて嬉しくなる。

そのうえ永瀬はりんこへのプレゼントと言って突然馬を買ってきたり、そうかと思うと馬から落ちて死んだり。嘘か本当かわからないようなファンタジーだが、母が娘と同じくらいリンゴのことを大事に思い、娘がリンゴに対して愛憎を持つさまはリアルだ。

何より木になっているリンゴが強い存在感を示す。これまで映画でリンゴがこれほど丁寧に繊細に描かれたことはなかったのではないか。その赤は、人々のほっぺやりんこのジャンパーや靴、へんなガイジンの赤のスカーフ、あるいは灯油を入れるプラスチック容器などと呼応し、弘前の自然の中で映画を彩る。

そしてリンゴの木が燃えるシーンが心に突き刺さる。燃えた後の木やリンゴの実の姿も忘れられない。すべてがリンゴを中心に回る世界に、頭がくらくらした。

わずか42分だが、この内容だとちょうどいい感じ。映画は何も1時間半から2時間くらいの長さである必要はない。今後の映像配信などを考えると、作品内容と客層にあった長さを自由に決めたらいい、と思わず楽天的に考えたくなるような映画だった。

そういえば、弘前には記者になりたての頃に取材で行った。弘前市にはわずか2時間ほどしかいなかったが、もっと見てくればよかったと思った。その時書いた記事はいいかげんなものだったので、もう忘れたいけれど。

|

« 堂本尚郎さんの笑顔 | トップページ | 旅行中に読んだ本:『誘拐』 »

映画」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/537538/58354897

この記事へのトラックバック一覧です: 42分のリンゴの映画:

« 堂本尚郎さんの笑顔 | トップページ | 旅行中に読んだ本:『誘拐』 »