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2013年10月25日 (金)

東京国際映画祭は変わったのか:その(8)

東京国際映画祭について毎日書いてきたが、映画そのものについては今日が最後。見たのは、共にコンペの韓国映画『レッド・ファミリー』とメキシコ映画『エンプティ・アワーズ』。とりわけ『レッド・ファミリー』の切れ味の良さが印象に残った。

これはイ・ジョヒュン監督の初長編作品だが、製作、原案、編集にキム・ギドクが名を連ねる。いかにもキム・ギドクらしい奇想天外でケレンミたっぷりの展開が楽しめた。

北朝鮮のスパイチーム4人が、普通の家族を装ってスパイ活動を続けるさまを、隣の家族とのかかわりのなかで描く。最初は北朝鮮の4人の行動に笑っているが、だんだん彼らに感情移入してゆき、彼らの宿命に思いを馳せる。

彼らが致命的なミスをして殺されることになってからラストまでの展開も見事。キム・ユミ、ソン・ビョンホなどの演技に安定感があり、演出もソツがない。コンペで最も楽しめた作品。

『エンプティ・アワーズ』は叔父からモーテルの管理を任された17歳のセバスチャンの物語。ほとんど何も起こらないが、ヤシの実を売る少年やモーテルで恋人を待つ女性との出会いが悪くない。ゆったりと流れる時間に身をゆだねる快感があるが、それにしてもたわいない。終わった時近くの席から「えっ、これで終わり?」という声が聞こえた。

コンペは大半を見たが、良かったのは順に、『ある理髪師の物語』『ザ・ダブル』『レッド・ファミリー』『ブラインド・デート』。話題の『馬々と人間たち』は、酒を飲んでいるうちに見損ねた。

ひどかったのは順に、『オルドス警察日記』『捨てがたき人々』『ウィ・アー・ザ・ベスト』『ラヴ・イズ・パーフェクト・クライム』(これはトロントで見た)『歌う女たち』。これほどコンペを見たのは初めてだが、それにしてもコンペに水準以下の作品が多すぎる気がする。もちろん『捨てがたき人々』のように、賛否両論の作品もあるだろうけれど、それにしても。

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