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2013年10月 1日 (火)

山下敦弘監督の小品に、にやり

11月23日公開の山下敦弘監督『もらとりあむタマ子』を見た。題名からしてふざけたような感じだが、中身は輪を掛けておかしい。そもそも、田舎でなにもせずにゴロゴロする役を、前田敦子が演じているのだから。

マエアツが演じるのは、大学を出て甲府の実家に戻って父と2人で暮らす娘タマ子。父親はスポーツ店を営んでいるが、タマ子は就活はおろかバイトもしないし、洗濯や食事の用意さえもマメな父親任せ。そんなタマ子のぐうたらな日々を秋、冬、春、夏と淡々と描く。

タマ子のいいかげんぶりに最初は戸惑うが、父親や近所の中学生との会話に思わずにやりと笑ってしまう。テレビを見て「ダメだな、日本は」というタマ子に、「ダメなのはおまえだ」と父。あんなに美人なのに、家でふてくされて逆ギレしたりする様子は、「田舎にいるいる、こんな女は」という気分になってくる。おまけにタマ子は芸能人を夢見て、オーディション雑誌を買っているのだから。

夏になって、父親に再婚話が来たあたりから、どこか調子が変ってくる。あるいは、私がようやくテンポをつかんだのか。そして前田敦子の真面目な表情に、ふと小津安二郎の『晩春』の原節子を思い出す。まさか。あるいはだらだらと高校野球中継を見る父親が、侯孝賢が小津に捧げた『珈琲時光』の父親役、小林稔侍に似ていると思ったり。

大半は家の中のショットで前田がだらだらと過ごす姿を描くが、彼女が自転車を押しながら、橋を渡るシーンに、ふと普遍的な何かを感じてしまう。そんなことを考えていたら、中学生との馬鹿げた会話で映画はストンと終わった。

『マイ・バック・ページ』(11)や『苦役列車』(12)とかなりメジャーな枠で力作を続けた山下監督が、肩の力を抜いて撮った愛すべき小品。何といっても、田舎のぐうたら娘を演じたマエアツの妙なおかしさがたまらない。クレジットの最後におまけ映像も。

この文章は昨日半分書いて今日仕上げようと思ったら、なぜか夜中に半分のままアップされていた。読んだ方はご容赦を。パソコンまで時差ボケかな。

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