« サウジアラビアの映画に涙する | トップページ | 42分のリンゴの映画 »

2013年10月 9日 (水)

堂本尚郎さんの笑顔

先日報じられた通り、画家の堂本尚郎さんが亡くなられたので、葬儀に行ってきた。そこに居並ぶ著名な方々に比べたら、私なぞは部外者に等しかったが、それでも個人的にお世話になった。

堂本さんに最初に会ったのはずいぶん遅い。2006年の世田谷美術館の個展会場で、こちらから声をかけた。翌年に開催するパリのポンピドゥー・センターの所蔵品展で、彼の作品を展示することが決まっていたからだ。

それからは、何度一緒にお食事をしたか、覚えていないくらいだ。フランス大使公邸で堂本さんを囲むディナーがあった時も招待していただいたし、私がフランスから勲章をもらった時もパーティーにきてくれた。奥沢のご自宅で寿司職人を呼んで開くパーティにも、2、3回行った。

とにかく相手が若くても素人でも、話があえばすぐに打ち解ける方で、会うとあの独特の笑顔があった。何となく気安くなった気がして、長いインタビューをしたのは、既に前の会社を辞めると決めていた時だから、2008年末だ。3時間くらいお話を聞いていたが、急に疲れた表情が見え始めたので、退散した。

数日後に原稿を送ると、すぐに電話が来た。「言ったことと、違うんだよ。これじゃあ誤解されるよ。後で直しを送るから」と恐ろしい調子の声だった。数日後にファックスが来て、原稿は半分以上書き直されていた。それを最大限に生かしながら直した原稿を送ると、「まあ、まだヘンだけどいいよ。君は記者は向かないね。展覧会をやっている方がいいよ」と言われた。

翌年の1月12日に記事が掲載され、もちろん掲載紙を送ったが音沙汰がない。そのまま2月末になって、借りていた画集を持って、会社を辞めることにしたことを告げるためにご自宅を訪れた。大学で教えると言うと、「記者よりも向いているんじゃないかな」

斎場には、堂本さんの満面の笑顔の写真が飾ってあった。後でその写真が自分が係わったポンピドゥー展の取材で撮った時の写真だと教えてもらって、少し嬉しかった。

|

« サウジアラビアの映画に涙する | トップページ | 42分のリンゴの映画 »

文化・芸術」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/537538/58349038

この記事へのトラックバック一覧です: 堂本尚郎さんの笑顔:

« サウジアラビアの映画に涙する | トップページ | 42分のリンゴの映画 »