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2013年10月14日 (月)

ターナーに驚く

ここではいつも、海外の美術館に高額のギャラを払って一括で借りてくる「〇〇美術館展」を批判してきた。始まったばかりで12月18日まで開催される「ターナー展」もその意味では「テート美術館展」ではあるが、ちょっと違う。

約110点を越す作品はすべてターナーで、うち油彩が30点を越す。大きな油絵も多いし、水彩画も佳作が多かったので、個展として見ごたえのあるものだった。

私にはターナーと言えば、嵐の海を渡る帆船のイメージがあった。しかし展覧会を見ると、歴史画も多いし、田園風景もある。イタリア各地の絵もある。海の絵も、写実的なものから、ほとんどモネのような抽象的なものまでさまざまだ。

水彩画になると、まるで水墨画のように薄い色で軽やかに仕上げてある。後期の水彩は「色彩のはじまり」と呼ばれるもので、まるで色と形を実験するような絵が多く、何を描いているのかはっきりしないものが多い。水彩画の方がより実験的だ。

そんなことを考えながら、自宅でカタログをめくっていたら、最近その個展を見た竹内栖鳳が、ターナーの影響を強く受けたという、岡泰正氏の文章があったので驚いた。彼は神戸市立博物館の学芸員でかつて一緒にパリやヴェルサイユに行った方だが、さすが岡さんだ。

岡さんは栖鳳の《ベニスの月》をターナーの影響下で描かれたとする。確かにターナーにはベネチアの絵が何枚もある。もちろん栖鳳はターナーよりも百年近く後の生まれだが。

それらのベネチアの絵の一部もそうだが、ターナーの最晩年の未発表作は、ほとんど光だけを描いた抽象画のようだ。かつて国立西洋美術館でコロー展を見た時に、印象派の世界が既にそこにあるのを感じたが、ターナーはそれよりさらに早い。いやはやおもしろい。

テートのターナーとかプラドのドガとか、その作品を特に集めた美術館なら「〇〇美術館展」でもおもしろい個展になるのだと思った。

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