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2013年10月23日 (水)

東京国際映画祭は変わったのか:その(6)

昨日見た2本は、単調なあまり途中で出ようかと思った。1本はコンペの中国映画『オルドス警察日記』、もう1本はワールドフォーカス部門のフランス映画『魂を治す男』。『オルドス警察日記』は、『北京好日』(00)の女性監督ニン・インの新作だ。

内モンゴル地区オルドスで、2011年に亡くなった実在の公安局長ハオの警察官人生を描いたものだが、あらゆる意味で保守的な映画だった。まず彼の死から始まり、その生涯を描いてくれと頼まれた新聞記者が彼を知る人を訪ねる展開だが、何ともわざとらしい。

スローモーションを多用して劇的な音楽を流し、妻との場面ではメロドラマのような音楽を繰り広げる。彼は常に正義を振りかざし、賄賂を固辞する。そして上司に気に入られ、どんどん出世するが、決して威張らない。そして家族を大事にしながらも、元旦に逮捕に出かけるなど仕事が第一だ。

警察の見本のような男の話だが、ちょうど重慶の薄熙来事件の裁判中でもあるので、中国の地方役人はこんなに立派ですよと宣伝している映画に見えてしょうがなかった。こんなプロパガンダ映画をコンペに入れたのは、中国政府の圧力かなと勘ぐりたくなる。審査委員長のチェン・カイコーの感想が聞きたい。

『魂を治す男』は、逆に何を言いたいのか最後までわからないが、どこか魅力のある映画だった。監督のフランソワ・デュペイロンは、かつて『夜のめぐり逢い』(88)に驚いたが、その後低迷していたと思ったら『イブラヒムおじさんとコーランの花たち』(03)で返り咲いた。

今回は、亡くなった祈祷師の母親の才能を受け継ぐぐうたら息子の話。南仏の明るい光のなか、トレーラーハウスに住む無口な太った男が主人公だ。ある男の出血を手を当てるだけで瞬時に止めて注目されるが、本人はあまりやる気がない。

娘やその母親、あるいは出会うアル中の女性などとのやり取りが淡々と続く。集まる人々の治療にも関心がなく何もしない主人公を見ていると、どこか癒されてくるから不思議な映画ではある。ただし124分は長かった。

今年はコンペもワールドフォーカスも、去年までに比べてレベルが落ちた気がする。

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