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2013年11月28日 (木)

ロイス・ウェーバーの映画を初めて見る

映画初期の女性監督として、フランスのアリス・ギイと並んでアメリカのロイス・ウェーバーの名前は聞いたことがあったが、その作品は見たことがなかった。今度フィルムセンターでその特集が始まったので、行ってみた。

上映プリントは米国議会図書館、英国映画協会、オランダEYE映画協会の3カ所から今回のために取り寄せたもので、この機会を逃すと見られなくなる。こんな貴重な上映が、なぜ東京フィルメックスと重なっているのかと恨みながら、もう2回行った。

1回目に見たのは、『噂の戒』(15)と『毒流』(16)。グリフィスの『国民の創生』やセシル・B・デミルの『チート』と同時代の映画だが、アクションよりも細部にこだわったリアリズムが売りもののようだ。『噂の戒』は、監督のウェーバーが主演の速記者を務めている。

残念ながらこの映画は欠落部分が多くて筋はよくわからなかったが、ウェーバー演じるデイジーの波乱万丈の仕事や結婚生活がかいま見えて、いかにも女性監督らしかった。

『毒流』は、一家を支える娘が靴を買う金もなく、ボロボロの靴を履きながら仕事に励むが、とうとう誘惑に負けるというストーリー。何度も出てくるボロボロの靴のアップが強烈だった。雨の日のびしょびしょに濡れた穴だらけの靴。それと対比される、靴屋に並ぶ新しい靴や友人たちのカッコいい靴。

昼休みに主人公が公園で1人サンドイッチを食べようとして、悲しくて食べられないショットや、終盤に決意して髪を結ってシャツを変えてキャバレー「ブルーグース」に出かけてゆく時のショットなど、強く印象に残った。何より主人公の女性の瞳が強烈。これはデジタル復元版で、プリントも美しかった。

2回目に見た『人民対無名の被告』(16)は、自白を強要された冤罪の死刑囚を描いたもの。これも部分が欠落していたが、死刑を前日に控えた死刑囚の姿や、彼を無実と信じて救おうとする女性弁護士の姿が印象的だった。

『偽善者』(15)は、偽善を暴く修道士を描いた宗教劇のような映画。裸の女性が二重写しで現れて、鏡をかざすと真実の姿が暴露されるというものだが、正直なところよくわからなくて退屈した。

これまで見た4本は、どれもまじめなテーマばかりで社会性が強い。アリス・ギイのような女性らしさや男女の違いをからかうようなユーモアはないが、銃や靴や目などのクロース・アップからなるリアリズムはすさまじい。

もっと見たいが、東京フィルメックスもあるし。入りはあまりよくないが、1週間後にしていれば、ずいぶん違ったのではないか。


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