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2013年11月15日 (金)

『愛の渦』の演劇的おもしろさ

最近は、私の学生で映画会社でバイトやインターンをする者が増えた。先日『愛の渦』の試写を見に行ったのは、映画宣伝会社でバイトをする学生の1人から「すごくおもしろいですよ」と言われたからだ。少し前に『恋の渦』に衝撃を受けたこともある。

『愛の渦』も『恋の渦』も三浦大輔率いる劇団ポツドールの芝居を映画化したものだが、『恋の渦』は『モテキ』の大根仁が監督したもの。一方、来年3月1日公開の『愛の渦』は、ポツドールの脚本家兼演出家の三浦大輔本人が監督しているというので、興味が湧いた。

『愛の渦』は、試写状のビジュアルから衝撃的だった。真ん中にぼんやりと裸のアップがあって題名が書かれていて、まわりに「男2万円、女千円、カップル五千円 乱交パーティ」とか「したくしてしたくてたまらない」とかの文字が躍っている。

いかにも扇情的な感じだが、映画はそれを裏切らなかった。8人の男女がマンションの一室で乱交パーティをするというものだが、始まった時はその全員がシーンと黙っていて、見ている方が気まずくしくなるほど。そして1人の女性が「初めてですか」と隣の女性に話しかける。

少しずつ話が進む間合いのおもしろさは、明らかに演劇のものだ。その会話の中から8人の性格や人間が少しずつあらわになってゆく。そしてそのうち2人が別室でセックスを始め、次の2人がそれに続いてゆく。

セックスの場面は多いけれど、セックスの行為そのものが中心ではない。むしろセックスを巡って、8人の思惑や駆け引き、本音といったものがだんだんと露呈してゆくことにおもしろさがある。

「皆さんってスケベなんですよね」「エッチな話でもしましょうか」「潮を吹いてみたいんです」「コツを掴んだんで、次はうまくいくと」「好きになってんじゃねえよ」「豚の悲鳴じゃないですか」

深夜の零時から始まったパーティも、朝の5時にはお開き。社員役の窪塚洋介がカーテンを開けると朝の光が差し込む。いかにも芝居のクライマックスのようだ。それから二転、三転とまだまだひねりが待っている。

冒頭と終わりの数分を除くとほとんどマンションの一室で123分も続くのに、全く退屈しなかった。いかにも演劇的な演出だけど、池松壮亮や門脇麦を始めとする俳優たちの好演もあって、魅力たっぷりの映画になっている。これは当たるのではないか。

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