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2013年11月26日 (火)

『ビフォー・ミッドナイト』のおしゃべりを楽しむ

東京フィルメックスで傑作『罪の手ざわり』の後は、『アナ・アラビア』、『カラオケ・ガール』、『若さ』と苦行のような3本を見て、普通の映画を見たいと思った。選んだのは、1月18日公開のジュリー・デルピーとイーサン・ホーク主演の『ビフォア・ミッドナイト』。

見終わった後に配給会社の方にも聞かれたが、実は私はこれが3部作だということもよく知らなかった。もちろんその前の『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離』(95)も『ビフォア・サンセット』(04)も見ていない。

実は、ジュリー・デルピーの監督・主演『ニューヨーク・恋人たちの2日間』を去年見て、思いのほかおもしろかったので、その続編かなと思って見に行った次第。もちろんそれは間違いで、3部作はリチャード・リンクレーター監督。

結論から言うと、前の2作を見ていなくても十分楽しめるが、見ていたら本当におもしろかっただろうなという感じ。印象としては、フランスやイタリアの友人達と長い長い夕食会をして、終わって疲れたような気分でもある。

夏休み明けに息子を空港から1人旅立たせる父親(イーサン・ホーク)のシーンから始まる。車に戻ると、そこには妻役のジュリー・デルピーと双子の娘たち。そこから車の中で15分ほどの夫婦の会話。彼らが普段はパリに住んで、夏休みにギリシャに来ていることや、息子は夫の前妻との子供で、母親と米国に住んでいることがわかる。

次に彼らが夏休みの家を提供している作家の家族たちとの長い昼食の会話。これが30分近くあった。欧米のインテリたちが大好きな、恋愛を巡る終わりのない話が続く。それから夫婦2人になって、また30分を越す会話。それがまるで行きつ戻りつで、一体この2人はどうなるのかと思いながらラストに至る。

たった1日を、恋愛をめぐる結論の出ない議論で組み立てた映画だが、一瞬一瞬の会話や表情がドキュメンタリーのようにリアルで、飽きさせない。脚本に主演2人が参加しているが、確かに練りに練られている。それでも欧米インテリ達の果てしない会話に、お腹一杯になった。

日本人はこれほど愛について議論しないと思う。少なくとも私は苦手だ。

もう一つ大事なこと。この映画ではおばさんになったジュリー・デルピーのおっぱいを、十分過ぎるくらいじっくり楽しめる。楽しいと思えばだが。

それからトリビアに近いが、ジュリー・デルピーが語るポンペイの遺跡を舞台にした白黒の映画は、間違いなくロッセリーニの『イタリア旅行』(1953)。プレスにも出ていないが、この場面にまさにぴったりの映画。

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