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2013年11月14日 (木)

音楽の展覧会の難しさ

前にもここで書いた気がするが、美術以外の展覧会は難しい。建築の展覧会は図面と模型と写真、漫画の展覧会は入稿原稿とできあがったページや本、映画の展覧会は衣装やセットにポスター、あるいはビデオモニター。いずれも作品そのものがフルで見せられないから、隔靴掻痒だ。

今回見たのは、初台の東京オペラシティアートギャラリーで12月23日まで開催の『五線譜に描いた夢 日本近代音楽の150年』展。つまり音楽の展覧会だ。

音楽もまた展示できない。しかし音楽の歴史ならば見せることはできる。そんな感じで日本における洋楽の150年を見せている。並ぶのは、幕末からの楽譜や楽器、洋楽を弾く人々を書いた絵やコンサートのポスターなど。明治初期に日本で作られたピアノやオルガンなどは、見ているだけで楽しい。

ところどころにヘッドホンがあって、当時の音楽を聞くことができる。例えば三浦環が1910年代に米国で録音した「蝶々夫人」の一節などは、録音の状態が悪いのがまたいい。うまいかへたかわからないが、何だか切ない気分になる。会場にはいくつかの解説ビデオもある。展覧会のために作ったもののようだ。

そうやって明治の夢を追っていたら、突然戦時中の音楽になる。1940年の紀元二千六百年式典では、リヒャルト・シュトラウスが祝典音楽を作っているのに驚いた。

そして戦後になって、実験工房から武満徹になる。ひたすら現代音楽家の楽譜やコンサートのポスターが並ぶ。何だか途中が抜けている感じがした。

300点近くの出品物からなり、ヘッドホンやビデオ映像も豊富で、丁寧に作った展覧会だ。けれど、もの足りなさが残る。幕末から明治のあたりは興味深かったが、その後が駆け足過ぎたと思う。あの会場の広さで150年分を見せるのは無理なのかもしれないが。

やはり音楽の展覧会も難しい、というのが結論。そういえば、昔赤坂にあった頃のサントリー美術館でモーツァルト展を見たが、あれはもっとスカスカだった記憶がある。

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