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2013年12月26日 (木)

また90分台の秀作を見る:『あなたを抱きしめる日まで』

『ゼロ・グラビティ』に続いて、また90分台の秀作を見た。3月15日公開のスティーヴン・フリアーズ監督『あなたを抱きしめる日まで』は98分の作品で、重い内容をメリハリの効いた演出でテンポよく見せながら、そのうえ泣かせる。

物語は、60代後半の女性フィロミナが、かつてアイルランドで無理やり引き裂かれた子供をアメリカに探しに行くというもので、彼女を引っ張るのがクビになった元ジャーナリスト。

スティーヴ・クーガン演じるジャーナリストとフィロミナ(ジュディ・デンチ)が出会うまでに15分。アメリカに行くことになり、息子の行方がわかるまでで1時間たつ。そしてどうするかという残りが30分余り。息つく暇もないほど随所にサプライズや泣かせる場面が仕込まれている。

例えばジャーナリストにフィロミナが知り会うのは、彼女の娘がバイトをしていたパーティがきっかけ。あるいはフィロミナが成人した息子の写真の中に、同行しているジャーナリストを見つけるのも偶然。

こうした偶然の中に、フィロミナが過去を振り返る映像が混じる。途中からは、アメリカに行って撮られた息子の8ミリ映像も。

保守的で俗っぽい女性を演じるジュディ・デンチがいい。アメリカに行くとか、息子の恋人に会いにいくとか、重要な時だけは、突然はっきりと意志を通す姿がカッコいい。

元新聞社にいた私としては、ジャーナリストの嫌なところがたっぷり出ていたのは見ていて楽しかったが、彼は少し出過ぎだったかもしれない。

50年にわたる重い史実をいかに90分にまとめるかという、脚本の見本のような映画だろう。さすがスティーヴン・フリアーズで、演出も切れ味が良すぎて、ちょっとうますぎる感じも残ったけれど。

今後しばらくは、90分台の映画に注目したい。

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