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2013年12月24日 (火)

『ゼロ・グラビティ』の革新性

年間の興行成績や年間ベスト10では、12月に公開された映画は含まないというのを最近聞いた。確かにそうしないと、正月映画の扱いが難しくなる。もしその決まりがなかったら、12月13日公開の『ゼロ・グラビティ』は、確実に今年のベスト10の上の方に顔を出したに違いない。

それくらい、この映画は革新的だった。まず3D映画として、宇宙の浮遊感や猛烈な速度で飛び交う破片をこんなにリアルに表現したのは初めてではないか。『アバター』の3Dには驚いたが、その後3Dで見てよかったと思った映画は少ない。スコセッシが『ヒューゴの不思議な発明』で、パリの駅に飛び込む列車や大きな時計を迫力満点に描いたことくらいしか記憶にない。

その意味で、この映画は久しぶりに3Dの有難みを感じた。宇宙の果てから宇宙船の残骸が自分に向かって来る時は、思わず顔を背けたくらい。随所に見られる長回しによるロングショットが、3Dの効果を最大限に引き出していた。

それ以上にSF映画として、映画史に残るのではないか。とりわけ宇宙船を描いた映画としては、『2001年宇宙の旅』(68)や『惑星ソラリス』(72)、『エイリアン』(79)などに連なる革新性を持っているように思える。

何が新しいかと言えば、無重力状態だけを描いた点だ。登場人物はたったの2人で、それも途中から女性1人になる。半分以上は宇宙を浮いているシーンだ。それなのに、見ているとまるで自分が宇宙に浮いているような気分になってきて、息苦しくなる。

NASAとのやりとりもなくなり、途中からは中国からの意味不明の声が途切れ途切れに聞こえる。無音状態に響く主人公のサンドラ・ブロックの嘆きやひとり言は、宇宙の絶対的孤独を見せてくれた。見終わっても宇宙に浮いているような感じが残って、しばらくぼんやりした。

91分という短さもいい。これ以上長かったら、窒息死しそうだ。最近同じような感じを持ったのは、98分の『アンストッパブル』だが、共に映画らしさが凝縮されている作品だ。最近の多くの映画は2時間を越し、無用に長すぎる。90分の映画の良さをもっと考えた方がいい。上映回数も増やせるし。

監督はアルフォンソ・キュアロンだが、この監督は映画ごとに全く違うものを作ると思った。とにかくこの映画は、映画館で3Dで見ないとわからない。未見の方は、今すぐ映画館へ。


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