『東京最高のレストラン』はなぜいいいか
先日、『エルオネス』という経済系の小冊子のインタビューで、最近読んだおもしろい本を5冊挙げることになった。私はその中の1つに、あえて『東京最高のレストラン2014』を選んだ。理由は、毎年のトレンドや勢いのある店がわかるから。
レストラン・ガイドは毎年暮れに出るが、『ミシュランガイド』にしても『東京いい店うまい店』にしても、毎年ほとんど変わらない。だから5年に1度買えば十分。
ところがぴあ刊の『東京最高のレストラン』は、全体の半分近くを今年か昨年末にできた「注目店」に当てる。そして料理ライター6人が、それぞれに星を付け、うち1人が解説文を書く。さらにジャンルごとに6人で座談会をしている。
まさにオビに「実名で今、一番注目のお店を採点!」と書かれている通り。だから、最近できたばかりの注目の店を知るのには最適だ。去年はそこに私の地元の「ボン・グゥ神楽坂」「エノテカ・ラウラ」(今は「神楽坂ヴェーリ」)を見つけて嬉しかったし、2014年版だと今年3月にオープンした原宿のペルー料理「ベポカ」が載っているのはさすがだと思った。
去年版でそこで知って、行ってみて満足だった店も多い。フランス料理だと、銀座の「エスキス」、表参道の「ラス」、恵比寿の「ビストロ ル・ネオ・クニオミ」など。イタリア料理だと広尾の「オルゴーリョ・デル・カザルタ」、渋谷の「オステリア・アッサイ」、銀座の「リストランテ・クロディーノ」など。店によっては、2度行った。
そんなことを考えていたら、今年の「ミシュラン・ガイド」が少し変わった。初めて星なしの「ビブ・グルマン」を新たに加えたのである。これは1年ほど前にミシュランから「ボンヌ・プチット・ターブル東京」という、気楽なフランス料理店を集めた本が出たが、そのコンセプトを加えたものだろう。
「ボン・プチット・ターブル東京」はかなり何でもありの本だった。たぶん友人に好きなフランス料理店を聞いて、端から載せたのではないかと思うほど、玉石混交。「フィガロ」とか「スイス・シャレ」、「ブラスリー・グー」となどありえない店も多い。
だから今度加わった星なしの店も、相変わらず何でもありだ。「オルゴーリョ・デル・カザルタ」や「リストランテ・クロディーノ」「神楽坂ヴェーリ」などは明らかに1つ星でもおかしくないが、ミシュランのどこにも載っていない。代わりに、どうでもいいイタリアンが並ぶ。
もともとフランス人はパスタを茹で過ぎるほどで、一般にイタリア料理というものがわからないが、それにしても。実名で書かないだけに、タチが悪い。あと5年は「ミシュランガイド」を買う気がなくなった。
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