« 『印税で1億円稼ぐ』に笑うも | トップページ | また映画祭をやってるのと言われて:その(1) »

2013年12月14日 (土)

そして東京フィルメックスは続く:その(4)

フィルメックス関連で気になったことや思い出したことを書く。開会式で一番印象に残ったのは、審査委員長のモフセン・マフマルバフ監督が挨拶の最後に「今でも中国やイランでは映画の検閲があることをお忘れなく」と言ったことだ。これは通訳がヘタだったので、日本語では聞き取れなかったのではないか。

そんなことを思い出したのは、先日仏誌「ヌーヴェル・オブセルバトゥール」で、フィルメックスでも上映されて来年公開のジャ・ジャンクー監督『罪の手ざわり』が、中国では公開禁止になったという記事を読んだから。

その記事によれば、ジャ・ジャンクーの映画は1本も劇場公開が認められておらず、すべて違法DVDでのみ見られている状況という。ところがファンは多く、2004年の『世界』の北京プレミア上映にその記者が参加したところ、監督が大勢の若い映画ファンに囲まれていたらしい。

彼の映画が1本も本国で公開されていないなんて、知らなかった。日本では報道されていない気がする。ちなみにその記事は「『アデル、ブルーは熱い色』がなかったら、ジャ・ジャンクーの『罪の手ざわり』はおそらくパルムドールを取っただろう」と始まっている。

マフマルバフを見て、もう1つ思い出したことがある。今年秋にトロント国際映画祭に参加した時、タクシーの運転手から「映画祭のために来たのか」と聞かれた。「日本のジャーナリストだ」と答えると、「オズはおもしろいのか」と聞かれた。

「いや私はイラン出身だが、マフマルバフという監督がいてね、彼がオズはすごいというんで、今度の映画祭で修復版を1本やるから見ようと思って」「モフセン・マフマルバフは日本でも有名だよ」「信じられない。彼の映画は日本で公開されているのか」「彼はもちろん、娘のサミラやハナの映画まで見ているよ」「オー、オー、信じられない」

まあ、こんな感じの会話になった。私がマジディとかゴバディ、パナヒなどの名前を出して、最後にキアロスタミとナデリは日本で映画を撮ったと言うと、「何ということだ。そんなに日本はイランが好きなのか。おれはトウキョウでタクシー運転手になりたい」

あの運転手は、いつか日本に来るのだろうか。最後は抱き合って(というか、降りてきて抱きつかれた)別れたが、連絡先を渡しておけばよかった。ひょっとすると、イランでは映画評論家だったりして、と後で思った。

付記:ジャ・ジャンクーを配給しているビターズ・エンドからメールが来て、「2004年の『世界』以降、『長江哀歌』『四川のうた』「海上伝奇」が中国本国で正式に公開されています」とのこと。『罪の手ざわり』も上映が遅れているだけで、禁止にはなっていないらしい(12/19)。

|

« 『印税で1億円稼ぐ』に笑うも | トップページ | また映画祭をやってるのと言われて:その(1) »

映画」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/537538/58752255

この記事へのトラックバック一覧です: そして東京フィルメックスは続く:その(4):

« 『印税で1億円稼ぐ』に笑うも | トップページ | また映画祭をやってるのと言われて:その(1) »