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2013年12月 3日 (火)

『パリ、ただよう花』に考えたこと

パリには、恋愛を繰り返しながらも、力強く生きている日本人女性が何人もいる。12月21日公開のロウ・イエ監督『パリ、ただよう花』を見て思い出したのは、彼女たちの姿だった。

この映画で描かれているのは、もちろん中国人女性。彼女はパリに住み、中国人の男性とフランス人の男性の間を行きつ戻りつする。

それだけの話なのだが、それぞれの恋愛の姿が強烈な印象を残し、見終わった後もずっしりと心に残った。主人公のハオを演じるコリーヌ・ヤンがいい。インテリ風のきつそうな表情を浮かべながらも、自分の感情に従って行き、時には理性的な判断をするまっとうな女性だ。

相手役のティエリーを演じるタハール・ラヒムは、工事現場で働く労働者で、すべてにまっすぐな若者を演じる。この対照的な風情の2人が、セックスによって結びつき、離れられなくなる。

ハオにはもともと中国から追いかけてきたフランス人がいて、冒頭にその男との別れのシーンが出る。夜に帰るのは中国人の男の家で、彼とも関係を持つ。北京に通訳の仕事で帰ると、偉くなった昔の彼氏の家に泊まり、結婚を迫られる。

そんな自分勝手な女性のはずなのに、なぜか彼女の行動が見ていて理解できる。一瞬一瞬を必死で生きている感じが、手持ちカメラの映像から呼吸のように伝わってくるからだろう。

ハオが大学の友人たちとの夕食にティエリーを連れてきて、全く波長が合わず喧嘩になってしまうシーンがある。私は思わず、こんな場面よくあったなあと昔のパリ時代を思い出した。

今はパリも、中国人が一杯なのだろう。それにしてもパリの日本人をきちんと描いた映画は1本もない。韓国映画だって、ホン・サンスの『アバンチュールはパリで』など秀作があるのに。

この監督の映画は北京の同性愛を描いた『スプリング・フィーバー』以来だが、都市で苦しみながら生きてゆく若者を街の表情と共に描くことにかけては天才的だ。

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