« 『ある精肉店のはなし』に学ぶこと | トップページ | かぐや姫から平等院、そして森村泰昌へ »

2013年12月29日 (日)

「新聞の映画評」評:年末回顧

年末に朝日新聞の石飛記者と飲んでいたら、「仲良しの配給会社のヨイショばかり書かずに、正面から新聞批判をしろ」と言われた。こちらも酔った勢いで「じゃあ、やるよ」と言ったので、大胆にも各紙の年末回顧を俎上に上げる。

手元にあるのは、読売の13日夕刊と朝日の20日夕刊、そして日経の24日夕刊(ほかの新聞ごめんなさい)。並べてみたら、これは比べようがない。

読売は近藤記者が1人で今年の概観を述べている。横に「今年を代表する人と作品」として10数本が挙がる。日経は中条省平、村山匡一郎、渡辺祥子、宇田川幸洋、白井佳夫の5氏が3本を選んでその説明をしており、記者の文章はナシ。朝日はその中間で佐藤忠男、秦早穂子、山根貞男の3氏が短いコメントつきで3本を選び、石飛記者が全体を回顧する。

読む側としてどれが一番おもしろいかというと、日経。朝日の3人より5人の方が楽しいし、それぞれの文章も朝日よりずっと長い。それにしても平均年齢の高いこと。日経はかろうじて50代の中条氏を除くと、60代から80代。朝日は70代から80代!

読売はある意味で一番「回顧」らしい。「2013年は、作品、興行の両面で、スタジオジブリが席巻した年だった。アニメーション映画の隆盛、実写映画や外国映画の低迷といった傾向も、ジブリ旋風と無関係ではないだろう」と始まる。

でも普通に読むと、ジブリと読売は近いからそれこそヨイショかと思ってしまう。興行成績だと1位は『風立ちぬ』だが、2位は『モンスターズ・ユニバーシティ』で3位は『ワンピース Z』だし。アニメが興収上位を占めたのも、宮崎と高畑の作品が並んだのも偶然だろうし、来年はたぶん実写がまた盛り返すのではないか。

朝日の分析は「“事件”は映画祭で起こった」という大げさな書き出しで、カンヌで『そして父になる』が賞を取って『風立ちぬ』で宮崎監督が引退を表明したことをでヒットしたと書く。その次に『そして父になる』と『ハンナ・アーレント』のヒットを高野悦子と堤清二の死去に強引に重ねる。何だか結論ありきの「ためにする」記事に見えるけど。

個人的には『そして父になる』を始めとして、『許されざる者』『舟を編む』『凶悪』『横道世之介』など日本のインディペンデント系の監督が大きな映画を撮ったり、そこそこの興収を挙げて前面に出た年のような気がするけど、これも偶然か。

私のベスト5はWEBRONZAに書いたので、ご一読を。

|

« 『ある精肉店のはなし』に学ぶこと | トップページ | かぐや姫から平等院、そして森村泰昌へ »

映画」カテゴリの記事

コメント

日経の年末回顧は12月11日付けの朝刊でないか? そうでないとフェアじゃないんじゃない?
新聞の文化面の年末回顧が状況論、文化論でなくなりつつあるのは、ここ3、4年のことだと思います。こんなレベルじゃ、貴兄も含め誰も読まないよね。

投稿: | 2014年1月 7日 (火) 23時31分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/537538/58839731

この記事へのトラックバック一覧です: 「新聞の映画評」評:年末回顧:

« 『ある精肉店のはなし』に学ぶこと | トップページ | かぐや姫から平等院、そして森村泰昌へ »