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2013年12月19日 (木)

また映画祭をやっているのと言われて:その(3)

明日まで開催の映画祭「監督、映画は学べますか?」では、12人の監督たちの卒業制作や未ソフト化作品を中心に上映している。学生が選んだのは、今泉力哉、沖田修一、城定秀夫、瀬田なつき、想田和弘、冨永昌敬、橋口亮輔、松江哲明、山下敦弘、山村浩二、ヤン・ヨンヒ、横浜聡子の各氏。

実はほかにもコンタクトして断られた監督がいたが、いずれにせよ、選ぶのも交渉も学生がやった。白状すると、選ばれた12人のなかには、私が作品を見ていない監督がいた。城定秀夫と今泉力哉の2氏。

それぞれ1人の学生が自信を持って推薦したのでOKを出したが、今回その作品を見て、彼らの判断が間違っていなかったと悟った。どちらも相当の個性的才能の持ち主だった。

今泉監督は、数名の若者たちの不思議な恋愛劇を巧みに作り上げる。『微温』(07)は、あるカップルがそれぞれ二股をかけている話だが、極めて日常的な会話劇に交じる自然なおかしさがたまらない。登場人物がやたらに食事をしたり酒を飲むこともあり、私はホン・サンス監督を思い出した。

上映後監督にホン・サンスの話をしたら、「実はよく言われるので、最近まとめて見た」とのこと。東京国際映画祭でも上映された新作『サッドティー』は彼の作品を見た後で作ったというので、ぜひ見てみたい。

城定監督は、黄金期の日活ロマンポルノを彷彿とさせた。『人妻セカンドバージン 私を襲ってください』は今年の最新作だが、その設定が絶妙だ。川の向こうに工場地帯が見える家の夫婦。夫は浮気をして帰りが遅く、妻は殺人犯を家に入れて、関係ができてしまう。殺人犯は屋根裏に住みつく。

それだけの話だが、なぜか喘息気味の主婦や居ついてしまう殺人犯、あるいは近所の青年の佇まいにどこか厭世的な世界観が見える。屋根裏からのショットや遠くに見える工場の雰囲気もいい。主婦が最後に元気になった様子を見せると、思わず嬉しくなった。

こんなに映画を見ていても、まだまだ知らない監督はたくさんいるのだと痛感。

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